ミック経済研究所は、エンベデッドシステム(組込みシステム)に関する国内マーケット調査を実施、その結果を「エンベデッドシステム・ソリューション市場の現状と展望 2015年度版」にまとめた。
調査は、エンベデッドシステム関連ベンダー156社を対象として、面接取材を中心に、アンケート、電話調査を併用しながら最新情報を収集。主要ベンダー65社の個別実態を積み上げ、エンベデッドシステム・ソリューション市場全体を推定した。
調査結果によると、2015年度のエンベデッドシステム・ソリューション市場の規模は、前年度比4.3%増の1兆110億円となる見込み。ここ4年間で全体の売上高は1300億円増加。そのうち67%、871億円を運輸/建設機器(自動車)が占めている。増加額の12%、156億円を占める個人用情報機器(カーナビ等)も自動車関連で、合わせて78%、1027億円を自動車関連分野が占めている。
ADAS(先進運転支援システム)や自動運転、電気自動車(EV)等、高度でより安全・安心・低燃費実現に向けた開発が続いてるため、自動車を中心とする運輸/建設機器の伸びが著しく、低調な分野の減少を補い、更に市場のけん引役として期待される。また、個人用情報機器も、3か年平均成長率6.8%で伸びている。
2010年度時点で最も規模の大きかった民生用通信端末(携帯電話)は、減少が継続。また、AV機器・家電機器などの民生用機器も、海外メーカの台頭が目立ち、国産メーカの生産・開発拠点の海外シフトが進んでいるため、国内は今後も厳しい状況が続くと予測される。
一方、太陽光発電システムや電力使用の見える化などの「エネルギー関連」の機器やシステムには引き続き注目が集まっている。その他にも温・湿度、CO2、放射線などを測るセンサーや画像・映像を使った「監視・モニタリング関連」のシステムへの注目度も高まっている。
エンベデッドシステム市場は、全体的に横ばいから緩やかだが、今後はIoTに積極的に取り組む企業を中心に市場が活性化。2018年度には1兆1400億円(年平均6.3%増)まで伸長すると予測している。