なぜ軌道内に…列車衝突事故、認知症で原因究明困難に

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昨年12月に長野県長野市内のJR篠ノ井線で、軌道内に進入して立ち往生していた乗用車と通過中の特急列車が衝突した事故について、国土交通省・運輸安全委員会は27日、事故報告書を公表した。乗用車の運転者が認知症のため、事故原因は詳細不明となった。

問題の事故は2014年12月18日の午前1時35分ごろ発生している。長野市篠ノ井塩崎付近のJR篠ノ井線で、軌道内で脱輪して立ち往生していた乗用車と、通過中の下り特急列車(名古屋発/長野行き、6両編成)が衝突。クルマは約100m先まで押し出され、列車は雪に乗り上げて先頭車両が脱線した。クルマを運転していた77歳の男性は衝突前に車外へ脱出しており、列車の乗客乗員約80人にもケガはなかった。

クルマは現場近くの踏切から軌道内へ誤進入したものとみられるが、事故当時は約15cmの積雪があり、道路と軌道の区別が難しい状態だった。警察や運輸安全委員会の調査官はクルマを運転していた男性から事情聴取を行っていたが、「事故の記憶はない」などと供述。重度ではないものの、認知症の状態であることが後の検査によって判明した。

このため、運輸安全委員会では「事故当時は踏切内が積雪によって路面を確認できない状態となっており、これによってクルマが踏切から誤進入したと推察される」としながらも、誤進入している瞬間を目撃した人はおらず、運転者自身の記憶も曖昧なことから、「事故に直接結びつく供述は得られず、事故の詳細は明らかにできなかった」とした。

衝突回避については、立ち往生していたクルマのヘッドライドが消された状態であり、現場付近に照明なども存在しなかったことから、「事前に衝突を回避することは困難だった」としている。

《石田真一》

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