【ジャガー Fタイプ R 試乗】さまざまなストレスから解放してくれる魔法のAWD…山崎元裕

試乗記 輸入車
ジャガー Fタイプ R AWD
  • ジャガー Fタイプ R AWD
  • ジャガー Fタイプ R AWD
  • ジャガー Fタイプ R AWD
  • ジャガー Fタイプ R AWD
  • ジャガー Fタイプ R AWD
  • ジャガー Fタイプ R AWD
  • ジャガー Fタイプ R AWD
  • ジャガー Fタイプ R AWD

ジャガーの2シータースポーツ、『Fタイプ』のラインナップが、2016年モデルでさらに魅力的なものになった。

その中でも特に注目できるのは、550psの最高出力を誇る、5リットル仕様のV型8気筒スーパーチャージドエンジンを搭載するFタイプRに、電子制御方式の多板クラッチをセンターデフに用いたAWD=フルタイム4WDモデルを追加設定してきたこと。

通常時には後輪に100%のトルクを、そして走行状況に応じて、前輪には最大で50%までのトルクを伝達されるというのが、AWDシステムの概要。前輪側にも電子制御デファレンシャルが組み合わせることで、理想的な4輪のトルク配分を実現していることも特長だ。

FタイプRのAWDモデルは、クーペにもコンバーチブルにもラインナップされているが、日本仕様には前者のみが導入される。今回の試乗では、コンバーチブルとの組み合わせもトライすることができたが、そもそもクーペと比較して剛性面、重量面では若干のハンデを背負うことになるだけに、コンバーチブルはスポーツカーとしての魅力にはやや乏しい。550psものパワーをフルに楽しむには、やはりクーペの剛性感は必要不可欠といえる。

そのクーペボディのFタイプR AWDの走りは、きわめてスパルタンなものだった。もちろんそれはピュアスポーツにとってはポジティブな評価。コーナリングは事前に想像していた以上に軽快で、特にビッグサイズのエンジンを搭載するにもかかわらず、コーナーへの進入では、常に俊敏なターンインを楽しむことができたのは素晴らしい経験だった。ジャガーとしては初採用となったEAPS=電動アシストパワーステアリングのセッティングも、この好印象の理由のひとつだ。

そしてAWDモデルの最大の魅力は、ここからコーナーを脱出するためにアクセルペダルを踏み込んだ瞬間に表れる。タイトなコーナーからの加速時には、前輪のトラクションが有利に働き、結果的に感動的ともいえるスタビリティを感じながら、躊躇なくフル加速を楽しむこともできる。

オプションで選択可能なセラミックブレーキもまた魅力的なフィールだ。時にはサーキット走行をも楽しみたいというカスタマーならば、この絶対的な信頼感が持てるオプションを選ばない理由はない。

クーペでは、300km/hの最高速と、4.1秒の0-100km/h加速をスペックシートに掲げるFタイプRのAWDモデル。AWDはドライバーを、さまざまなストレスから解放してくれる魔法のメカニズムだ。その代償は若干の重量増と、コーナリング時にわずかに感じる、ステアリングのキックバック程度か。ストレスフリーでパフォーマンスのすべてを引き出せる、実に魅力的なピュアスポーツカーだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

山崎元裕|モーター・ジャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
1963年新潟市生まれ、青山学院大学理工学部機械工学科卒業。少年期にスーパーカーブームの洗礼を受け、大学で機械工学を学ぶことを決意。自動車雑誌編 集部を経て、モーター・ジャーナリストとして独立する。現在でも、最も熱くなれるのは、スーパーカー&プレミアムカーの世界。それらのニューモデルが誕生 するモーターショーという場所は、必ず自分自身で取材したいという徹底したポリシーを持つ。

《山崎 元裕》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集