日産自動車の西川廣人CCOは7月9日、子会社で主力工場の日産自動車九州(福岡県苅田町)で会見し、現状の為替水準が続けばグローバルでの自動車市場の成長に応じて、国内の生産設備がフル稼働に近い状態になるとの見通しを示した。
西川CCOは国内の生産設備について「国内で造って国内で売るという部分と、それから成長していく中で補完的に輸出する機能の両方を持たせることを想定している。そういう意味では補完の部分をフルに使うとなると、ギリギリ回せば年間120万台くらいの生産能力を持っている」と説明。
その上で「国内の工場は、今の日産の500万台を超える状態の生産、販売の中で、フル稼働してもいいくらいの競争力を持っており、そこまで使い切れる状態になるのではないかと思う」との見通しを示した。
さらに「日産がグローバルで成長していく中では、当然、それぞれのマーケットで足りない部分がでてくる。今の規模以上にだんだん増えてくると、(国内の)補完機能としての50万台規模というのはマストで必要な台数になる。為替がかつての超円高ではなく、ごく通常の状態であれば、フル稼働に近い状態が続くと私は思う」とも指摘した。
その一環として日産は2016年春から日産九州で北米向け『ローグ』を年間10万台規模で補完生産することを決めた。これにより日産の国内生産台数は16年度には3年ぶりに100万台の大台を回復する見込みという。日産の14年度の国内生産実績は前年度比13%減の87万608台、15年度はほぼ横ばいの87万7000台を計画している。
ローグの補完生産について西川CCOは「単純に日産の国内での仕事が増えるだけではなく、実際に補完生産をスタートすると設備あるいは治工具、それに部品もティア1からティア2、3のみなさんにも生産をして頂く。そういう意味では、我々の仕事量の約4倍の地域経済への波及効果がある」と述べた。