【ジャガー XF Rスポーツ 試乗】振る舞いに息づくジャガーネス…森口将之

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ジャガー XF Rスポーツ
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モダン・ジャガーのデザインを構築した立役者『XF』。その魅力は今なお健在だ。

クーペのようなシルエットは英国車らしいエレガンスとジャガーならではの躍動感を絶妙に両立しており、似たようなフォルムのドイツ車より自然な佇まいからはスポーツサルーンとしての歴史の長さを教えられる。その後『XJ』や『XE』が同じ流れで登場したことで、原点ここにありという雰囲気も漂わせるようになった。

キャビンに入り、赤く光るスターターボタンに誘われてエンジンを始動すると、ダイヤル式セレクターがせり上がり、エアコンのルーバーが回転して現れるなど、演劇の幕開けを見ているような気分になる。T字型のインパネやブルーグリーンのイルミネーションなど、英国車らしさを感じ取れる部分もちりばめてある。いつ見ても感動できる空間だ。

今回試乗したのは限定100台のRスポーツ。エンジンは2リットルターボだが力は十分だ。8速ATが効率的に力を伝えてくれるおかげもあるけれど、遮音が効いていて、音質も緻密で、4気筒と意識することが少ないことも、余裕があると感じさせる一因だ。

一方のシャシーはジャガーそのもの。乗り心地は低速でこそ19インチのホイール/タイヤの存在を感じるものの、60km/hも出せばしっとりしたフィーリングに変わっていく。繊細なタッチのステアリングは、上品にドライブしようという気にさせる。

ハンドリングは基本的に安定しているけれど、ステアリングやアクセル操作に対して向きを微妙に変えてくれるので、乗せられている感はなく、操る喜びがしっかり堪能できる。ジャガーがスポーツサルーンと呼ばれる理由が分かった。

人の気持ちに寄り添い、生き物っぽくふるまうというジャガーネスが、しっかり息づいていることが再確認できた。そこにモダンなデザインを組み合わせたXFは、ジャガーのターニングポイントとなった1台として語り継がれる存在になるはずだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得 意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

《森口将之》

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