韓国のタイヤメーカー、ハンコックタイヤは上海ショー15で、3種類のコンセプトタイヤを展示した。これは産学協同プロジェクトの成果で、いずれもデザイン学生のアイデアを立体化したもの。
プロジェクトは将来のタイヤの可能性を創造的に考察することが目的で、2014年にフォルツハイム大学(ドイツ)の大学院と協同で実施された。
課題は"A Great Challenge for a Great Change"。地球温暖化の影響で大規模な気候変動が起きてしまった状況でも、地理的な問題をクリアして走行性能を発揮できるタイヤのアイデアが求められた。
また課題テーマとは別に、アイデア展開の方向性を示すスローガンとして"Discovery for Future Driving"という言葉が掲げられている。
モックアップ化して展示されるという栄誉を得たのは3案。"Boostrac"は砂漠化が進行してしまった地域、"Alpike"は豪雪地帯、"hyBlade"は大雨が降り続く地域を想定したもの。いずれもトラクションを確保するためのアイデアが、視覚的な特徴にもなっている。
"Boostrac"はタイヤを膨張させて直径を拡大すると、密集していた表面のブロックの間隔も広がって砂の上でもグリップを得られるというアイデア。
"Alpike"は車軸を中心にして伸びるスポーク状のユニットの末端がトレッド面になっている。雪上ではユニットがさらに延長されることで地上高を稼ぎつつ、トレッド面が分割されることで多数のエッジが生まれ、グリップを得やすくする。
"hyBlade"は水捌けをよくするだけでなく、冠水した状態でもタイヤとホイールのフィンがパドルの役割を果たし、前進とコントロールができるようにするというもの。
ハンコックでは「これらのコンセプトタイヤは、いずれも"フューチャー・ドライビングを発見"している。ユニークなスタイルとテクノロジー、そして新しい文化を統合することに成功している」と発表している。