ヤナセは、同社の社員・役員を会員とする互助組織の「ヤナセ共済会」会長だったヤナセ元取締役が資金約2億円を横領していた不正行為が発覚したと発表した。
同社によると、この元役員は、共済会会長の立場を利用して、同会の資金を不正に引き出し、私的に流用していたことが2014年11月に発覚。同社は、顧問弁護士を交えた調査委員会を立ち上げ、調査した結果、2002年から2014年まで12年の間に約2億円を不正流用していたことが明らかになった。
共済会は任意団体で、同社の監査役・監査部、公認会計士の監査対象外。元役員は長期にわたって共済会会長として同会の業務を一手に所管できる立場にあり、さらに同会の規約や管理監督体制にも不備があった。
共済会では、この元役員を横領の疑いで刑事告訴し、2月10日に受理された。同時に民事訴訟にも踏み切り、全額弁済を求める方針。
同社では、これらの事態が生じたことについて役員報酬カットを実施するとともに、共済会業務関係者も社内規定に則り、処分するとしている。
また、同社では不正行為の発生を厳粛に受け止め、共済会規約の全面的見直しに着手し、管理監督体制を強化した上で、再発防止に取り組む。共済会の当面の運営に支障はないものの、会員に不利益が生じないよう、回収不能金額が生じた場合、ヤナセがその全額を補てんするとしている。