シドニー立てこもり事件報告を前に
2月16日トニー・アボット首相は、シドニー都心部で起きた立てこもり事件を踏まえ、国家安全保障を強化し、「オーストラリアは『悪者達にお人好し扱いさせておく』ことはしない」と語った。
ABC放送(電子版)が伝えた。
シドニー都心部での事件の調査委員会は連邦政府の設立したものと、NSW州政府が独自に設立したものがあり、両者の報告書が発表される前、2月23日にアボット首相が連邦議会で「国家安全保障声明」を発表することになっている。
16日の声明は公式ビデオ・メッセージの形で発表されており、「オーストラリアの脅威になるような者達も長年疑わしきは罰せずの原則を悪用してきたし、本来刑務所に入っているべき時にも保釈で野放しになってきた」と語っている。シドニー都心部での立てこもり事件の死亡被疑者でイラン出身の難民マン・ハロン・モニスが、「彼は犯罪者」とのイラン政府の警告にもかかわらず、1996年には難民と認定され、事件当時も性犯罪で起訴され、さらに妻に前妻殺害をそそのかした容疑での裁判も進められることになっていた。
首相はまた、「オーストラリアは自由で公平な国だが、悪人達にお人好し扱いさせておくことを意味するものではない。悪人達がオーストラリアの制度を悪用してきたことは事実だが、それも終わりにしなければならない」と語っている。ただし、具体的な法制の変更などについては何も明らかにしていない。
ただし、ジュリー・ビショップ外相がスカイ・ニュースの番組で、「首相は、国境警備や移民局で入国者や移民の審査を厳しくすることに言及している」と語っているが、疑わしきは罰せずを悪用させないという発言は裁判の推定無罪の原則の廃止を意味するものではないと否定した。
■ソース
Tony Abbott flags crackdown on national security ahead of release of Sydney siege review