「冬に強いオイル」を選ぶのもクルマを長持ちさせる秘訣
こだわり始めると悩ましいのがエンジンオイル選び。愛車のことを思えば、より高品質なオイルを入れたいが、ブランドも値段も様々なオイル缶が大量に並ぶ量販店で、何を選んでいいか途方にくれてしまった人は少なくないだろう。
オイル選びでまず重要なのが、そのクルマに合った粘度グレードを選ぶことだ。特に最近のエコカーは燃費性能を重視し、低温時の流動性が高い粘度グレードを指定していることが多い。先頭に「0W」とか「5W」とあるのは、それぞれ-35度C、-30度Cでも流動性を保つということ。逆に流動性の低いオイルでは、抵抗が増えて始動性が落ちるほか、燃費も悪くなってしまう。また、潤滑もうまくいかないので、エンジン内部にダメージを与えやすい。
そんな時に頼りになるのが合成油(化学合成油)だ。鉱物油と違って、合成油は分子同士の結合が強く、また分子の大きさが均一になるように化学的に合成されているため、低温では流動性を保ち、高温にも強いという相反する要求を満たしてくれるからだ。
◆合成油のパイオニア、モービル1
1971年、世界初の合成油として「モービル1」が発売された。「-40度Cの世界では、バナナで釘が打てます」というテレビCMを覚えている方も多いだろう。それは“普通の高級オイル”がドロドロになる極寒の世界でも、モービル1は常温のようにサラサラという衝撃的な内容。ちなみにモービル1の元になった技術は、軍用機のベアリンググリースが凍結するのを防ぐために開発されたという。まさに最先端の技術だったわけだ。
また、合成油は低温流動性だけでなく、潤滑、密封、清浄、冷却といった性能でも鉱物油より優れている。そして熱に強く、劣化もしにくい。実験によれば、モービル1を入れたメルセデスベンツ『E350』のエンジン内は、100万km走行後でもまるで新車のような状態だったとのこと。また、汚れたエンジンにモービル1を入れて約4万kmをオイル無交換で走らせた実験では、エンジン内部がクリーンな状態に戻ったという。ピストン頭頂部のデポジット(カーボン堆積物)も部分合成油や鉱物油を使った時より大幅に少ないという結果が出ている。
こうした性能の高さは、モータースポーツの最高峰F1でも遺憾なく発揮されている。モービル1のサポートを受けたF1チームは、1981年のウイリアムズ-フォード以来、5回のコンストラクターズタイトルを獲得し、6人のワールドチャンピオンを輩出。その高性能を世界中のサーキットで証明している。
◆ディーゼル車から高性能スポーツカーまで対応
現在、モービル1の製品ラインナップは、粘度グレード別に、0W-40、5W-50、15W-50、5W-40、5W-30、10W-30、0W-30、0W-20の8種類。いずれもガソリンエンジンだけでなく、要求性能が高いディーゼルエンジン車にも使用可能だ。また、メルセデスベンツ、BMW、トヨタなど多くのメーカーの承認を取得しており、性能と信頼性はまさにお墨付きとなっている。
また、モービル1は新車充填オイルとしても数多くの高級車で採用されている。ポルシェとは1996年から提携しており、ワンメイクレース用の「911 GT3(Type991)」も含めて、全てのポルシェにモービル1が充填されて出荷されている。
そして日本車では、日産『GT-R』やレクサス『LFA』の新車充填オイルがモービル1だ。GT-Rでは「サーキットなどでのハードスポーツ走行を含め、膜圧保持性、極圧性の高いMobil 1(0W-40)を必ず使用してください」と厳格に指定。9000回転まで回るV10エンジンを搭載するLFAは、Mobil1の5W-50を指定してしている。
こうした確かな高性能オイルが世界中どこでも手に入るという点も、モービル1の大きな魅力だろう。