レクサス『RC』はスーパーGTマシンのベースにもなっている、トヨタ&レクサスを代表するスポーツクーペ。もっともホットなモデルは5リットルのV8エンジンを搭載する「RC F」で、500馬力に迫る最高出力を誇る。一方、「RC300h」は178馬力の2.5リットル4気筒エンジンにハイブリッドシステムを組み合わせ、システム出力220馬力を得たパワーユニットを搭載する。
こうして比較するとかなりアンダーパワーで低いレベルのクルマに思われがちだが、300Nmものトルクを使っての発信加速は決して非力なものではなく、ドライビングプレジャーを感じさせてくれる。試乗を行ったのは標準、ラグジュアリータイプの「バージョンL」、スポーティな「Fスポーツ」と3つあるサブグレードのうち、Fスポーツ。
Fスポーツはスポーツシートや強化タイプのブレーキなどを装備。ドライブモードセレクトはエコ、ノーマル、スポーツ、スポーツS+の4段階を備える。ハイブリッドなのでもちろんEVモードも備えている。
スポーツクーペのスタイリングながらエコな走り…なんだかちぐはぐなイメージを持つかも知れないが、これから先、いや現代では絶対的に必要なことで、これを抜きにしてクルマを語ることはできない。問題はどこまで気持ちいい走りを実現しているか、だ。エコのために走りを捨てたのなら、もはやスポーツクーペではないし、スポーツのためにエコを捨てたら存在すらできない。
RC300hをドライブする限り、つまらないという感覚はない。もちろん、RC Fと比較するなら物足りなさはあるが、RC Fとは400万円弱の価格差があるのだから、それなりの物足りなさは出てきて当たり前だろう。それを割り切って乗ることができればRC300hはかなり気持ちのいい乗り物だ。
ハンドリングに関してはRC350やRC Fよりも素直で扱いやすい印象を受けた。これはハイブリッドシステムの搭載により重心が下がっていること、前後重量バランスが50対50となっていることなどが影響しているのだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。