セランゴール州新首相にアズミン・アリ氏 23日に宣誓式

セランゴール州王室は22日、同州のカリド・イブラヒム首相に代わる新首相にモハマド・アズミン・アリ氏(50)を内定した。

エマージング・マーケット 東南アジア

セランゴール州王室は22日、同州のカリド・イブラヒム首相に代わる新首相にモハマド・アズミン・アリ氏(50)を内定した。

同日に予行練習を行った模様。23日にシャアラムのスルタン王宮で宣誓式が行われる見通しだ。

アズミン氏は、同州与党である野党連合・人民同盟(PR)構成党、人民正義党(PKR)の副党首。1989年にアンワル・イブラヒム元副首相の私設秘書からスタートし、アンワル氏が同性愛事件で失脚してからは、PKRの前身である国民正義党(Keadilan、NJP)の結党メンバーとなり、1999年の総選挙におけるセランゴール州議会選挙で初当選。アンワル氏裁判における偽証罪で2004年の総選挙には被選挙権を剥奪されたが、2008年の選挙で下院・州議会選にダブル立候補して両方で当選、2003年の選挙でも両方の議席を維持していた。

セランゴール州では、与党のPKRがカリド州首相の交代を決めたが、共闘する汎マレーシア・イスラム党(PAS)がその後も居座るカリド氏を支援し、PKRが推すワン・アジザ氏を拒否したことで混乱に陥った。

こうした状況の中、任命権をもつスルタンは複数の候補者名を提示するよう3党に指示したが、PKRと民主行動党(DAP)はワン・アジザ氏擁立に固執。膠着状態の中で、アズミン氏とPAS所属のイスカンダル・サマド氏及びアハマド・ユヌス・ハイリ氏の名前が候補者として浮上。スルタンは直々に3氏と面談していた。
スルタンに最終的な任命権があるものの、複数の候補名を提出しなければならないという法律はなく、与党政府が推す人物が任命されるのが通例。スルタンの権限によってこれが覆されることになれば、むしろ州憲法の「与党政府から多数派の支持を得た者」という条項に違反することになる。

実際問題として、議会で支持を得られない人物が州首相になった場合、議会運営に支障をきたす恐れがある。PKRのアズミン氏が選ばれPAS候補から選ばれなかった理由としては、スルタンのサイドに更なる混乱を避ける配慮があったとの見方もある。

伊藤 祐介

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