フロスト&サリバンは9月17日、調査報告「将来のモビリティとしてのマイクロモビリティ」を発表。マイクロモビリティは、短距離移動および目的地と公共交通機関との間を結ぶラストマイル・コネクティビティを提供する将来のモビリティのひとつになるという見解を示した。
今回の調査は、カーシェアや車両乗入れ規制などを行っており、購買余力があるロンドン、パリ、シュツットガルト、ミラノ、ブリュッセル、ニューヨーク、横浜、北京の8都市で、合計約5000人を対象に実施した。
調査結果によると、35%の人がマイクロモビリティを日常生活の中で使うことに大変興味がある、もしくは興味があると回答。一方、27%は興味がない、19%は日常生活でマイクロモビリティを使うことを想像できないと答えている。
マイクロモビリティでの移動に関しては、自動車タイプでは32%、いすタイプでは41%がシェア、レンタル、あるいはリースが好ましいと答えている。また、66%は自動車からマイクロモビリティに移行するつもりはないと回答しており、マイクロモビリティが他の公共交通機関との間を結ぶラストマイルコネクティビティを提供する将来のモビリティのひとつとなることを示している。
今回の調査結果はまた、交通渋滞などの問題が発生する都市部の通勤者は、そうでない地域の通勤者と比べて、マイクロモビリティに対する受け入れ度合いがより高いという同社の見解を裏付けるものとなっている。
例えば、北京では81%の回答者が、マイクロモビリティを日常生活の中で使うことにたいへん興味がある、もしくは興味があると回答している。前回調査でも、北京では公共交通を含めた現在の移動に対する不満が高く、新しいモビリティ解決策を求めているという結果が出ており、今回の北京におけるマイクロモビリティに対する受け入れ度合いの高さと一致。
しかしながら、日産自動車による「チョイモビ」プロジェクトでマイクロEVのシェアリング実験をおこなっている横浜では、「とても興味がある」「興味がある」を合わせた回答比率は24%にすぎず、今回の調査対象となった8都市中最低の24%にとどまっている。
マイクロモビリティは新しい車両コンセプトで、多くの都市では車両区分や法制度が明確になっていない。同社ではマイクロモビリティが代替移動手段として使えるようになるために、政府が早急に法整備を整えることが重要であるとしている。
同社の自動車・交通運輸部門コンサルティング・ディレクター、本多正樹氏は「法整備を早急に整えることが課題ではあるが、マイクロモビリティが近距離移動やラストマイルコネクティビティを提供する将来のモビリティ解決策になるだけでなく、足が不自由なお年寄りなどの新たな移動ニーズを生み出すだろう」とコメント。
また本多氏は、「日本では、軽自動車と自転車・バイクとの中間的な存在として、欧州とは異なるニーズや規格が生み出される可能性が高い。都市の規模や公共交通のあり方によって、マイクロモビリティがフィットするかどうかなど、検証すべき点は多い」と今後に向けた検討課題を提示する。なお、レポートではマイクロモビリティ利用についてのコスト意識(購入/シェアリング)についての調査も含まれている。