予想通り、実質ノーピット戦となった今回の215km無給油設定レース。グリッド位置が重要になる状況下で予選9位に終わっていたオリベイラ(#19 Lenovo TEAM IMPUL/トヨタ)に関しては、陣営の高橋紳一郎チームディレクターも「ポイントリーダーの座を維持するのは難しいかもしれない」と考えていたくらいだった。だがオリベイラは1周目に6つポジションを上げ、そのまま3位表彰台を獲得、選手権首位も守った。
オリベイラの好スタートと表彰台獲得に誰より舌を巻いたのは、完勝してポイントランク2位に上がったアンドレ・ロッテラー(#36 PETRONAS TEAM TOM’S/トヨタ)陣営の舘信秀監督だ。「今日はアンドレが『強いアンドレ』を見せてくれてよかったんですが、JP(オリベイラ)がまさか3位まで来るとは夢にも思っていませんでした。それさえなければ、とてもいい一日だったんですけどね(笑)」と、レース後のトップ3選手&優勝監督会見で笑わせてくれた。これを聞いて、F3時代にTOM’Sで走っていたオリベイラが「ゴメン」と日本語で答えてさらなる笑いを誘うシーンもあったが、とにかく今回のオリベイラは窮地に立たされていたのだ。まさに起死回生の好スタートだった。
これでドライバーズチャンピオン争いはオリベイラが29点で首位堅持、26.5点のロッテラーが追い、今回6位で計25点とした中嶋一貴(#37 PETRONAS TEAM TOM’S/トヨタ)が続く形勢に。
開幕戦勝者のロイック・デュバル(#8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans/トヨタ)は今回6番グリッドからの発進だったが、スタート直後の1コーナーで他車に追突される格好で実質最後尾に落ち、最終的に15位。20.5点からポイントを伸ばせず、少し苦しくなってきたか。ただ、残り2大会で最大29点獲得できることを思えば、デュバル、そして現在20点の石浦宏明(#38 P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)あたりまでは圏内といえるかもしれない。