【KTM 390デューク 試乗】“じゃじゃ馬”は杞憂、熱く楽しめるパワーと車体…和歌山利宏

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KTM 390デューク(和歌山利宏)
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KTMのスモールデュークシリーズは、同社のネイキッドモデルに位置付けられるデュークシリーズにあって、『125』『200』『390』から成る小中排気量モデル群である。

インドで生産され、3年前に発表された125を皮切りに、200、390とバリエーションを拡大。ここで紹介するのは、それらの中の最大排気量版『390デューク』だ。

これら3台は車体を共用し、ディメンションも同じである。125/200はエンジンも基本の部分が共通だが、さすがに125の3倍もの排気量(390の実排気量は375cc)を同じ基本で成り立たせるのは無理があったようで、390のエンジンは専用設計される。しかも、同じフレームに搭載するため、フレームやエキパイには125/200にないエンジンの逃げとなるへこみが設けられ、搭載の苦労もうかがえる。

ライポジは3車種に差異はなく、他のデュークシリーズよりも、ハンドルが高めで狭く、普通のストリートバイクを思わせる。純粋なロードスポーツとしてはサスストロークが大きめで、足着き性は125としては良くないものの、ミドルクラスとしては並といったところだ。

もともとの車格が中排気量クラスとはいえ、125と共通の車体では、390はジャジャ馬ではと恐れていたが、車体がパワーに負けている印象はなく、見事なマッチング形である。

しかも、パワーに萎縮することなく、むしろパワーを使い切り、サーキットでも純粋に走りを楽しむことができる。その意味で、ストリートスポーツにとって44psというのは、程良い出力だと思える。ともかく、ここまで熱く楽しめて、それでいて実用に供するバイクは余りなく、国産400と比べて、その意味でも光っている。

もっとも、タイヤは125/200のインドのMRF製に代わり、メッツラーの『スポルテックM5』を装着、前後サスもダンパー機構が高水準化されていて、しなやかで腰がある動きを実現。エンジン重量の違いによって、車重が10kgほど重いのだが、その結果、前輪分布荷重が大きくなっているはずで、これも好マッチングに貢献しているはずだ。

前後150mmというロードモデルとしては大きめのサスストロークを生かし、豊かな姿勢変化を利用して積極的に操っていく乗り味は、デュークそのもの。オフロードバイクが原点にあるKTMにとって、これが彼らの考えるロードスポーツの標準形なのだ。

ちなみに、125でも意外やパワーが負けているという印象はなく、パワーを引き出して、交通の流れに乗っていく面白さがあるし、200も125と同感覚ながら、動力性能に余裕がある。それぞれに持ち味を発揮しているのである。

《和歌山 利宏》

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