自動車部品サプライヤーの大手「TRW」は、センサーやカメラ、レーダーを駆使し、あらゆる場面に対する安全技術を開発している。その中には、万が一衝突した場合の乗員の安全はもちろん、被害者の人体への影響も軽減するシステムを開発している。
TRWのエアバッグシステムは、助手席はもちろん、サイドや膝まわりにも展開し、乗員を包む。さらに、歩行者側の万が一も考え、フロントウインドウにもエアバッグを展開する。興味深いのは、電柱などに衝突して乗員を守るべきか、あるいは人を轢いてしまった緊急時に、その被害者を守るべきかを車が判断する点だ。
この判断を行なうには、2種類のセンサーを使う。ひとつは強い衝撃に反応するもの、そしてもうひとつは弱い衝撃。この後者に反応するセンサーに、TRWならではの技術が使われていると、ディベロップ・マネージャーの竹村龍一氏は説明した。
「フロントバンパー裏に、ホース状のセンサーを直線に這わせてあります。もし人をはねてしまった場合は、ホース内の空気が圧縮され、両端のセンサーが圧力を検知し、フロントウインドウにエアバッグを展開します。強い衝撃用センサーの感度を上げるという方法もありますが、それでは悪路でも反応してしまう可能性があり、NGです。そしてレーダーとカメラによるDASが、回避可能か不可能かも計算するため、エアバッグの瞬時の展開が可能です」。
加えて竹村氏は「事故を未然に防ぐ技術(アクティブ・セーフティ)はもちろん、異常自体発生後の被害者に対する被害軽減対策(パッシブ・セーフティ)もユーロNCAPでは要求に含まれてくる」と語った。