『エコスポーツ』のステアリングを握って感じるのは、このブランドのクルマづくりがうまいということだ。キネティックデザインと呼ばれる動(物)的なカタチが好きとかキライとかは別として、走らせると基本骨格が高いレベルで出来ていることがわかる。
そもそもフォードというブランドからすると“大味”なイメージがついてまとう。歴代の『マスタング』や『エクスプローラー』を筆頭とするアメリカンなモデルがそんなテイストだったからだ。と、同時にかつてのヨーロッパフォードが送り出す『フォーカス』のようなドイツ車然としたモデルもラインナップされてきた。あまり知られてないが、彼らは1911年から英国でT型をノックダウン生産してきたほど、ヨーロッパで長い歴史を持っている。
それはともかく、いま彼らは「ワンフォード」という旗のもと世界基準を目指している。そこで生まれたのが、先にリリースされた『フィエスタ』であり、このエコスポーツというわけだ。つまり、ヨーロッパフォードが培ってきたノウハウもかなり注入されているのだ。
断っておくが前述の“大味”はつくり大雑把というわけではない。どこまでも続くカントリーロードが多いアメリカ向けのクルマは、ステアリングやペダルがシビアだったりしては逆に危険なので、あえてダルなフィールに仕上げている。つまり、かつてのマスタングやエクスプローラーは極端にいうと、北米専用車という位置づけとなる。その証拠に新型マスタングは初めて世界各国で売られる。
エコスポーツはステアリングが正確で乗り心地もいい。それに今回強く感じたのは、クセがないことだ。操作類がスッととけ込むようにカラダに入ってくる。サイズから街中も使い勝手はいいだろうが、ロングドライブでもドライバーを疲れさせないに違いない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
東京・自由が丘出身。新車のインプレッションから海外ブランドのヒストリー、カーカルチャーまで幅広く活動。特に英国車、英国文化に造詣が深い。趣味はゴルフとマリンスポーツ。日本葉巻協会員。