【高機能プラスチック展14】振動を吸収するプラスチック、内装パーツに需要期待

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左はPP、右は制振プラスチック。同じ周波数の振動を与えても、右は先端がほとんど揺れていない
  • 左はPP、右は制振プラスチック。同じ周波数の振動を与えても、右は先端がほとんど揺れていない
  • 左のPPは下方向に曲がっている。上側にも同様に振れるくらい振幅幅がある。一方、右の制振プラは水平を保ったままだ

プラスチックという素材は金属より柔らかく、そもそも制振性に優れている。しかし、強度を求めていくとプラスチックでも振動を吸収しきれなくなってくる。

「従来は樹脂の制振性を高めようとするために制振ゴムを混ぜたりしていたんですが、それでも効果はあまり高くありませんでした。そこで樹脂自体に制振性を持たせた素材を開発したんです」。

こう語るのは住友化学 樹脂関連事業開発部の高野氏である。制振プラスチックという見慣れない名前に目が留まり、同社のブースを覗いてみたのだ。

この制振プラスチックは、PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)などと同系のオレフィン系がベースで、運動エネルギーを熱に換える特性を強化しているそうだ。

PPと制振プラスチックを同じ形状にインジェクション成型して加振装置に取り付けたデモでは、明らかに振動を吸収し、ほとんど揺れなくなっているのが確認できた。物性はコンパウンドを変えることにより柔軟に変化するようで、振動の吸収性と剛性の自由度も高そうだ。

ボディパネルやバンパーに採用することで乗り心地などの快適性が向上できるかも、と期待してしまうが、実際には衝撃吸収性などはPPの方が優れているようで、この制振材は内装材に使うことでビビリ音の解消などが狙えるという。

《高根英幸》

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