5人死傷の追突事故、2回目の控訴審で有罪判決に

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2005年8月、山梨県都留市内の中央自動車道で単独事故を起こして停止していた乗用車に衝突し、5人を死傷させたとして業務上過失致死傷罪に問われた30歳の男に対する2回目の控訴審判決が3月28日、東京高裁で開かれた。裁判所は地裁差し戻し審を支持、有罪を命じている。

問題の事故は2005年8月13日の午後10時45分ごろ発生している。都留市古川渡付近の中央自動車道上り線(片側2車線の直線区間)で、乗用車が前走するバイクを追い抜き、自車線へ戻ろうとした際に路外へ逸脱。道路左側のガードロープに衝突してスピンし、車線を塞ぐような状態で停止した。運転していた東京都三鷹市内に在住していた30歳(当時)の男性は車外に出て後続車を誘導していたところ、速度を落とさないまま第2車線を走行してきた乗用車が男性をはね、停止していたクルマに追突した。

この事故で車外に出ていた男性が死亡。車内にいた32歳(当時)の女性が重傷。追突側のクルマに乗っていた運転者を含む3人が軽傷を負った。追突車を運転していた22歳(当時)の男が安全確認を怠ったことが事故につながったものとして、後に業務上過失致死傷罪で起訴。一審の甲府地裁は「停止していたクルマは無灯火状態で、後続車は停止していることを認識できなかった」として、被告を無罪としたが、後の控訴審で東京高裁は「実況検分によると、停止していたクルマはヘッドライトやテールランプ、ハザードランプを点灯させており、後続車からも視認できる状態にあった」と指摘。一審には重大な事実誤認があるとして差し戻した。

これを受けて開かれた差し戻し審で甲府地裁は停止車両の灯火点灯を認め、2013年3月に禁錮1年2か月(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡したが、被告側がこれを不服としたため、2回目の控訴審が開かれることとなった。

28日の控訴審判決公判で、東京高裁の三好幹夫裁判長は「停止車両の灯火は点灯しており、懐中電灯で誘導していた被害者は後方約120mの位置で視認できる状態にあった」として、1回目の控訴審と差し戻し審の判断を支持した。

その上で裁判長は「被告は制限速度が80km/hの区間を100km/h程度の速度で走行していた」と指摘。「灯火が視認できた状態で適切に減速していれば事故を回避できた」と判断し、「事故は被告の前方不注視が主因で発生した。安全確認を怠った過失は軽視できない」として、被告に禁錮1年(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡した。

《石田真一》

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