滅多にない機会だがトヨタの“ウェルキャブ”(福祉車両)への同乗試乗ができた。車両は『ヴォクシー』のX車いす仕様車(スロープタイプ)タイプI。広くデイサービスなどで使われる“介護式”のクルマだ。エアサスペンションを用いリヤの車高を下げ車椅子の昇降時のスロープの角度をゆるやかにしていること、電動ウインチで車椅子が引き上げられ、介護者の負担が軽減されること、折り畳んだスロープの格納状態で前倒れ機能をもたせ、荷物の積載(積み下ろし)の容易性に配慮していること、後付けのセカンドシートを用意していること、などが特徴だ。実際に用意された車椅子(車載シートと同等の強度試験をクリアしたもの)に座り、ウインチで引き上げてもらう。動きは静かでスムース、何なく乗車位置の2列目左側に収まることができた。右横に並ぶ車載シートに較べ、座布団1~2枚ぶん座面が高くなり、走行中の横方向の頭の揺れが僅かに増えるが、走行中の感覚はまずまずの普通さ。長く、多くの車種を手がけてきたウェルキャブだけに、手際のいい造りはノウハウが生きているのだろう。短時間の同乗試乗の範囲だが、車両に備え付けの車椅子用シートベルトの装着がよりワンタッチ化されれば介護スタッフの手間がもっと省けそうだと感じた。また、床の素材が現状では黒い樹脂系の素材だが、やや荷物室的なムード。豪華である必要はないが、使用可能な素材の範囲でカーペット敷きにしたり……と、普通の乗用車と何ら変わらない快適でリラックスできる室内環境ならなおいい、とも。さらに乗り味も、介護車だからこそ、一般の乗用車以上に走り出した瞬間から「おお!」と思える特別チューンの優しい乗り心地なら、それは乗せてもらう人にとっての心遣いになるはずだ。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
制動能力とコントロール性をさらに追及、ブリッツが90系『ノア/ヴォクシーハイブリッド』用ビッグキャリパーキットII 発売 2025年8月24日 チューニングパーツメーカー・BLITZ(ブリッツ)がトヨタ『ノア…
「MAZDA SPIRIT RACING」初の市販車、『ロードスター』ベースで10月24日予約開始…526万5700円から 2025年10月6日 マツダは10月24日、モータースポーツ活動におけるサブブランド…