マツダのメキシコ工場開所式、大統領が異例のサービスぶり

自動車 ビジネス 企業動向
プレートの除幕式を行うメキシコのエンリケ・ペーニャ・ニヒト大統領とマツダの山内孝会長
  • プレートの除幕式を行うメキシコのエンリケ・ペーニャ・ニヒト大統領とマツダの山内孝会長
  • メキシコのエンリケ・ペーニャ・ニヒト大統領
  • マツダ3を運転して登場するエンリケ・ペーニャ・ニヒト大統領
  • ボンネットにサインするエンリケ・ペーニャ・ニヒト大統領

マツダが2月27日行ったメキシコ工場の開所式は朝から物々しい雰囲気に包まれた。工場の至る所にバリケードやゲートが設けられ、機関銃を持った軍隊や警察隊が無数に配備されていた。

これも頷ける話で、なにしろ式典にエンリケ・ペーニャ・ニヒト大統領の出席が予定されていたからだ。ゲートでは空港で行われるような厳しいチェックが実施され、大統領府関係者の指示の下に席に着き、そこから離れることを禁じられた。

そのうえ、式典の開始時間が次々に変わる。当初は午前9時だったが、当日の朝に10時に変更され、会場に入ってさらに遅れるとの連絡が入る。そして、12時過ぎに大統領を乗せたヘリコプターが到着。ボディガードに守られて会場入りし、会場を半周してひな壇に。その間に、人気者の大統領は出席者の多くから声をかけられ、その度に近寄って言葉や握手を交わしたりした。

式典は大統領の着席と同時に始まった。まずグアナファト州のミゲル・マルケス知事が挨拶。「従業員の90%が州民で、マツダは雇用面で大きく貢献してくれた。来年度にはフル稼働になり、マツダの拡張を通じて、メキシコはウィナーになれる」と話し、「われわれはマツダから多くのことを学んだ。(工場のある都市)サラマンカはサラマツダに変わったほうがいいかもしれない」と付け加えた。

その後、マツダの山内孝会長や住友商事の中村邦晴社長らの挨拶が続き、記念プレートの除幕式。そして、最後にペーニャ・ニヒト大統領が挨拶を行った。まず、遅刻したことを詫び、山内会長に感謝の弁を述べた。

「マツダは若者に雇用の機会を与え、メキシコが投資に優れた土地であることを証明してくれた。友達の山内孝会長に心から感謝を申し上げる」と述べ、こう続けた。「マツダは7億7000万ドルの投資を行い、4600人の人を雇用してくれる。これで4600のメキシコ家庭がより豊かになる。この工場は重要なプロジェクトである」

そして、これまで毎年のように変わっていた法人税を任期中の6年間は上げないことを約束。と同時に、メキシコ国民にも増税を行わないと表明した。「マツダはメキシコを信頼して投資をしてくれた。それに応えたい」と述べた大統領はその後工場視察へ行き、山内会長らの説明に熱心に耳を傾けたそうだ。

約30分後、大統領はできたばかりの『マツダ3』のハンドルを握り、山内会長らを乗せて登場。車を降りると、すぐにボンネットにサインし、記念撮影を行った。いつもならこれが終わると、大統領は車に乗って帰るのだが、この日は違った。バリケードを取り払い、従業員を呼び入れて激励し、記念撮影。これには大統領府関係者も驚いた様子だったが、それだけマツダはメキシコ政府から期待されているといっていいだろう。

《山田清志》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集