【ルノー キャプチャー 試乗】注目度抜群の造形とカラー、完成度高いパワートレイン…井元康一郎

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ルノー キャプチャー
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昨年の東京モーターショーで日本発公開、2月27日に発売される仏ルノーの小型クロスオーバーSUV『キャプチャー』をドライブする機会を得たので、ファーストインプレッションをお届けする。

◆地中海ブルーに目を奪われる

凝りに凝ったボディの造形がヨーロッパ市場で高く評価されているキャプチャーだが、その造形以上にインパクトが強かったのはボディカラー。試乗車のカラーは「ブルー メディテラネ(地中海の青)」という鮮やかなメタリックブルーだったのだが、絶妙な鮮やかさと透明感を帯びた青色。

筆者はこの色を初めて目にしたのだが、ルノージャポンのスタッフが横浜の日産自動車グローバル本社の車庫から試乗車を出したとき、思わずガン見してしまったほどだ。ドライブ中も信号停車時に周囲を見ると、歩行者や他のクルマのドライバーが見ること見ること。スナップ写真は言わずもがな、公式サイトのウェブカタログでも再現困難な色で、チャンスがあれば実物を目にしてみてほしいところだ。


◆日産 ジュークとは別物

このキャプチャー、しばしば提携相手である日産『ジューク』のルノー版と思われているが、実際には共通部分はエンジンベイなど一部分だけで、大半はオリジナルのエンジニアリングであるという。2605mmというロングホイールベースと1270kgという重量に合わせ、リアセクターは日本市場には未導入のコンパクトワゴン『クリオ・エステート』のモジュールで構成されているという。室内空間、ラゲッジスペースともジュークとは比較にならないくらい広大である一方、フロア構造がAWD(四輪駆動)化を考慮したものになっておらず、必然的にFWD(前輪駆動)のみとなる。

筆者は一昨年、たまたまドイツでジュークの1.6リットル+5速MTをドライブしたのだが、それとキャプチャーの乗り味は似ているところがまったくないと言ってくらいに違っていた。路面のざらつきをサスペンションの微小ストロークでカットするドイツ流とも、落下する玉子を手で受け止めるような動きで車体の上下動を収束させるフランス流とも異なる、言うなればルノー流であった。

運転席に乗り込んで数十メートルも走らせれば、その独特なテイストはすぐに体感できる。乗り心地は固くはないのだが、路面のうねりや荒れによる細かい上下動がわりとダイレクトに伝わってくる。近年、コンパクトでも“クラスを越えた快適性”を売りにするモデルが増えているが、キャプチャーはそういうタイプのチューニングではないというのが当初の印象だった。


◆運転席と後部座席で異なる乗り味

興味深かったのは、後に助手席、後席に移ったときのフィーリング。運転席では現代のBセグメントSUVにしては不快ではないものの振動は大きめに感じられたのとは裏腹に、フラットで静かでとても快適な乗り心地であった。実際に振動が大きいのではなく、運転席に路面状況がドライビングインフォメーションとしてもたらされているだけなのだ。

フランスはパリをはじめ石畳の市街路が多く、また地方の山岳路では路面の荒れた部分も少なくない。たとえばフォルクスワーゲンは、クルマ側の頑張りで路面状況にかかわらずばく進するようなテイストを持たせているが、キャプチャーはそれと正反対で、そういう路面のインフォメーションをドライバーに積極的に伝え、運転の判断材料にさせようという思想であることがうかがえた。

横浜の日産自動車グローバル本社をスタートして東京・丸の内へ。次に江ノ島を望む神奈川の七里ヶ浜に移動し、その後スタート地点に戻るというルートで、走行距離はおよそ140kmという短いドライブであったため、長距離を走った時の疲労感などは確かめられなかったが、少なくともその距離で不快に感じられることは前席、後席とも皆無だった。

面白いのはシート。最近のクルマは高密度なウレタンパッドが詰まったような構造のものが多いが、キャプチャーのシートはウレタンの反発力だけに依存せず、表皮でハンモックのように体重を支えるような感触だった。体重でヒップポイントが適切な場所に収まるようなイメージで、長距離を走るさいにそれがどういう効果を生むのか興味を覚えるところだ。


◆完成度高いDCT

車体の重心が高いクロスオーバーSUVだが、車両の安定性は申し分ない。直進性は良好で、首都高速道路の老朽化区間で轍を踏んだりしも、姿勢を維持するためにステアリングで微修正する必要はなかった。ハンドリングは弱アンダーステアで、少しきつい半径のコーナリングではクルマが外側に逃げようとするぶんだけステアリングを切ってやるというもっともオーソドクスな運転操作で鼻先が狙い通りに内側を向く。

パワートレインは120馬力の1.2リットル直噴ターボエンジン+6速デュアルクラッチ変速機「EDC」。エンジンは典型的なダウンサイジングユニットで、徹底したフラットトルクの味付け。ドラマチックなフィーリングはないが、1.2トン台のボディに大人4人を乗せた状態でもグイグイ車速を上げることができた。

乾式デュアルクラッチ変速機EDCは、一昨年に欧州デビューを果たした第4世代クリオで初採用されたという歴史の浅い技術。AT比率の低いフランス生まれということから、雑なところが多分に残っているのではないかと思っていたが、その予想は完全に外れた。変速制御はとても良く煮詰められており、シフトアップ&ダウンのショックは大変にマイルド。また、極低速でのクラッチリリース制御もかなり巧妙で、アクセルのオンオフで駆動系がスナッチ(ガクガクとした動き)を見せることもなかった。

面白かったのは変速プログラム。ノーマルモードとエコモードの2パターンがあるのだが、日本の速度レンジだと高速道路でもなかなか6速に入らず、5速でクルーズすることになってしまう。低い回転数で走りたい時はエコモードに切り替えておく必要があるのだ。が、昨年夏に日本版ルノー・ルーテシアを試乗した時に、エコモードに入れるとエアコンの効きが相当弱くなるようプログラムされていることを確認しており、快適性を考えると常時エコモードに入れっぱなしというのも考えものだ。日本の気候に合わせ、制御プログラムを小変更してほしいところではある。


◆試乗燃費は16.4km/リットル、戦略的価格設定で国産車に対抗

燃費は室内容積の大きさ、車両重量を考慮すれば、アベレージの水準には十分に達していた。大人4人乗車、エアコンONという条件で、首都高速8割、一般道2割の比率で横浜から東京駅までを走ったさいの燃費計の数値は6.1リットル/100km。日本式の表示に直せば16.4km/リットルであった。

前述のように、キャプチャーはノーマルモードで走ると、首都高速程度の速度ではトップギアに入らない。行程の半分を過ぎてからそのことに気づき、エコモードに切り替えたのを境に燃費が急激に伸びた。最初からエコモードでクルーズしていれば、もっと燃費を伸ばすことができただろう。半面、昨今人気の装備となっているスタートストップ(アイドリングストップ)機構が未装備なのはマイナスポイントで、市街地走行時に若干燃費を落とした。ルノーもそのことは認識しており、導入の方向で技術開発を行っているという。

このキャプチャーはBセグメントのクロスオーバーSUVだが、明瞭なコンセプトや高いデザイン性といった特性的には、スペシャリティカーに近い。日本市場での最大のライバルは、同じくスペシャリティを狙ったホンダ『ヴェゼル』であろう。

5%消費税込み価格は試乗車の「インテンス」が259万8000円、ルーフ2トーン塗装でない「ゼン」が249万8000円と決してお安くはない。が、キャプチャーはフランスでもインテンスの税抜き価格が1万8000ユーロ(252万円@1ユーロ=140円)と、結構高い。5%の消費税と現地では500ユーロ相当の塗装が標準となっていることを考慮すれば日本価格のほうが安価という、ユーロ高の中ではなかなか頑張った戦略的価格設定ではある。日常生活の道具として十分に使える実用性を持ちつつ、デザイン性の高さはライバルの中でも飛び抜けたものがある。ルノーは日産との協業のなかで機械的信頼性を急速に上げてきているだけに、そこに価値を見出すカスタマーにとっては、積極的に選べるクルマに仕上がっているのではないかというのが率直な感想だった。
《井元康一郎》

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