2014年2月5日、NICT 情報通信研究機構は、100Gbpsネットワーク環境上で、ウルトラHDまたはスーパーハイビジョンとも呼ばれる3300万画素、8K非圧縮映像の超高速伝送実験を行い、成功した。
実証実験は、東京・大手町と大阪・うめきたを結んで行われた。NICTは、2014年4月から新世代ネットワーク研究開発用のネットワーク環境「JGN-X」を100Gbps化する予定だ。今回の実証は、東京・大阪を結んだNTTコミュニケーションズ提供の100Gbps回線上で、8kの超高精細映像をIPネットワーク上で伝送する実験を行ったものだ。100GbpsのIPネットワーク上で長距離の8K映像を非圧縮で伝送する実証実験は世界初となる。
映像は、2月5日から開催の「さっぽろ雪まつり」を北海道HTBが8Kカメラで撮影した映像だ。800万画素素子を4枚使用して3300万画素の映像を記録する8Kデュアルグリーン方式の映像で、伝送ビットレートは24Gbps必要になる。
1回目の実証では、カメラのレコーダに録画された非圧縮の映像を、大手町の8Kディスプレイと、100Gbpsネットワークを通じてうめきたに設置した85型8Kディスプレイに同時に配信する。大手町のディスプレイは、実験に協力した神奈川工科大学が市販の4Kディスプレイを4台使用して製作したもの。うめきた側のディスプレイはSHARP製の試作品だ。
2回目の実証では、1回目で送信された8K映像をうめきた側に設置された映像サーバに蓄積し、ビデオオンデマンド形式で大手町に再配信した。映像サーバは、NTTの4K対応映像蓄積・配信サーバ「NTT-IT SHS-XMS」を2台同期させて8K対応にした。サーバ2台を同期処理すると、ジッターと呼ばれる同期ずれがわずかに発生し、伝送レートは1回目の映像配信より揺らぎが大きくなるという。とはいえ、ネットワーク上を流れるトラフィックは25Gbps代から大きくずれることはなく、また見た目上の映像の乱れも現れなかった。
NICTと共同研究を行い、8K映像配信技術の開発に当たった神奈川工科大学の丸山充教授によれば、映像サーバ2台の同期、複数の伝送路に分けて映像ストリームを送信するマルチレーン伝送に開発の苦労があるという。今後は、8K超高精細映像の非圧縮伝送や蓄積、配信技術を確立することで、クラウド上で8K映像を編集するといった映像制作環境が実現できるとしている。
今回の実証実験は、2月7日にもう一度行われ、17時からグランフロント大阪にて一般公開される予定だ。