自動車産業都市デトロイトに、GMが誇る数々のレアモノが集まる自動車博物館がある。「GMヘリテージミュージアム」だ。
フロア展示されているものは165台だが、そのコレクションは450台に及ぶ。乗り物はブランド別にわけて展示され、時宜を捉えつつ棚替えも行っているそうだ。「GMヘリテージミュージアム」は原則非公開だが館内の使用状況によって団体での受け入れも歓迎している。
50年前の試作車 電気自動車の原点とは?
数ある代物の中でも60年代製『Electrovan Experimental』『Electrovair II Experimental』がとりわけ貴重な車種だ。これらは当時のGMの発展と燃料電池技術開発を世に示すために作られたものだった。続く90年には電動の『Impact Experimental』がデビューした。
排気ガス及び化石燃料依存を減らすための自動推進議論にむけた業界総出の努力がデビューを後押ししたとも言えるとのことだ。
では50年前のものづくりにタイムスリップしてみよう。GMの戦後2番目の電気自動車への試みだった「Electrovair II Experimental」はいったいどのようにして作られたのだろうか。
GMが開発時精力的かつ重点的に取りくんだ課題は鉛蓄電池(lead-acid)バッテリーがかかえる問題だったという。鉛蓄電池(lead-acid)は重くパッケージ寸法も大きい。そこで新しいバッテリーテクノロジーであった銀亜鉛(silver zinc)活用に目をつけた。このバッテリー部分における進歩は、動力をパッケージにつき三倍も効率的に運び、サイズも鉛蓄電池バッテリーよりも断然小さくなったという。
ただ、当時の社会で電動自動車への受容姿勢はとぼしく販促の甲斐なく『Electrovair II Experimental』は壁にぶつかった。走行範囲がかぎられてしまうこと、頻繁に充電をしなければならかったことなどの限界に達したのだという。