自然科学研究機構 国立天文台は、すばる望遠鏡に搭載された主焦点カメラ『Suprime-Cam (シュプリーム・カム)』で明るさを増すラブジョイ彗星 (C/2013 R1)を撮影、彗星の尾が延びている様子を捉えたと発表した。
ラブジョイ彗星 (C/2013 R1)は、今年9月に発見されたばかりの彗星。2011年に国際宇宙ステーションから撮影されて話題になったラブジョイ彗星(C/2011 W3)と同じ、オーストラリアの天文家テリー・ラブジョイさんが発見した。今年11月に太陽に最接近したアイソン彗星 (C/2012 S1) は崩壊して肉眼での観測は困難となったが、ラブジョイ彗星 (C/2013 R1)は4等程度まで明るさを増し、明け方の東の空で双眼鏡を使えば観察することができる。
すばる望遠鏡での撮影は、ハワイ時間2013年12月3日午前5時半頃 (日本時間12月4日午前0時半頃) に、ニューヨーク州立大学や国立天文台などのチームによって行われた。画像ではイオンの尾がうねりながらのびる微細な構造を鮮明に写し出している。観測当時、ラブジョイ彗星は地球から約 0.8 億キロメートル、太陽から 1.3 億キロメートルの距離にいた。すばる望遠鏡はハワイ時間2013年10月31日未明にもラブジョイ彗星の拡大撮影に成功しており、このときには核から吹き出すダストのジェットの様子を捉えた。
観測チームは「すばる望遠鏡は大口径で広視野という素晴らしい特長があります。このおかげでラブジョイ彗星の核付近を詳細に観測すると同時に、綺麗な尾の内部も撮影することができました」とコメントしている。