3日、ツインリンクもてぎで決勝レースが実施されたSUPER GT最終戦において、GT300クラスのタイトル争いも決着。ドライバーズチャンピオンを獲得したのはホンダCR-Zを駆る武藤英紀&中山友貴だった(いずれも初の獲得)。
最終戦決勝は、ポール発進の#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也&佐々木孝太/ミシュラン)と、予選2位の#11 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸&ビヨン・ビルドハイム/ダンロップ)、そして予選3位の#16 MUGEN CR-Z GT(武藤&中山/ブリヂストン)、いずれもタイトル獲得の可能性を残す予選上位3車が、順番こそ変化するものの、そのまま表彰台圏内を占める結果となった。#11 メルセデスSLSと#61 スバルBRZが決勝1~2位(順不同)なら3位で王座をつかめるポイントリーダー、#16 CR-Zにとって、タイトル争い的に楽な展開だったことは事実である。
ただ、今季はボーナスポイント対象レースのアジアン・ルマン・シリーズ富士戦でこそクラス優勝しているが、シリーズ戦では未勝利の#16 CR-Zだけに、「勝ちたかったです」(武藤)というのが陣営の素直な気持ち。しかし、#11 SLSがリードを確かなものとするレース展開のなかで、「(無理に勝ちを狙って)チャンピオンシップを落とすようなことはあってはならない」(武藤)と、彼らは冷静な判断を下す。後半スティントを担当した中山が「目の前のコーナーにだけ集中して走ることを心がけました」という“無心”の境地で力走、最終戦をシーズン4度目の2位で終えて、見事にドライバーズチャンピオンの栄冠を手に入れた。無限はGT300チーム部門タイトルも獲得、これらはハイブリッド車によるSUPER GT初タイトルである。
「去年の7月にここ(もてぎ)で初めて走らせた(歴史の浅い)マシンで、しかも新しいシステムを搭載している。初期トラブルはいろいろありましたが、それをひとつひとつチームと一緒に乗り越えてきました」と、開発の労苦を振り返る武藤。今季から加わった中山も、武藤やチームの開発を讃えつつ、「僕にできることはコース上で速く走ること。結果で(起用に応える)恩返しをしようと思っていました」と語り、喜びを分かち合った。
最終戦優勝は#11 SLSの平中&ビルドハイム。タイトルに手が届かなかったことはもちろん「悔しいです」という平中だが、「テストからタイヤのパフォーマンスが良く、今回勝つ自信はありました。チームとダンロップの努力の結果だと思います」と語り、2勝した今季一連の流れに関しても充実感を滲ませた。
#61 BRZは決勝3位。山野のシリーズ勇退戦を勝利で飾ることはできなかったが、2年目のBRZにとってはシリーズ戦でポール5回、第5戦では初優勝も達成と、大きな飛躍のシーズンとなった。
これでSUPER GTの今季シリーズ戦は全日程を終了。ただ、戦いのステージはまだ残っており、11月22~24日には特別戦「JAF-GP富士スプリントカップ」が富士スピードウェイで開催される(SUPER GTは23日から走行予定)。今シーズンのSUPER GTを沸かせてくれたGT300強豪チームたちが、今度はクラス別、さらにはドライバー別のスプリント決戦という舞台で、再び矛を交えることとなる。