【インタビュー】今さら聞けないスタッドレスタイヤ、正しい利用と最新技術

自動車 ビジネス 企業動向

トーヨータイヤジャパン営業本部の澤野正彦氏
  • トーヨータイヤジャパン営業本部の澤野正彦氏
  • トーヨータイヤジャパン営業本部の澤野正彦氏
  • トーヨータイヤジャパン営業本部の澤野正彦氏
  • トーヨータイヤジャパン営業本部の澤野正彦氏
  • トーヨータイヤジャパン営業本部の澤野正彦氏
  • トーヨータイヤジャパン営業本部の澤野正彦氏
  • GARIT G5
  • GARIT G5
台風が通り過ぎたと思えば季節は間もなく冬、急に冷え込み、そろそろ雪の知らせも聞かれる時期になった。2012年の冬は関東地方にも突然の降雪があり、慌ててスタッドレスタイヤを取り付けるためショップへ駆け込んだ人も多いはずだ。

雪道や凍結路の走行を可能にするスタッドレスタイヤ、夏用タイヤとはタイヤの特性が異なっていて、雪道や凍結路に限らず乾燥路においてもタイヤの特性を理解しないまま走行するのは危険といえる。突然の降雪で慌てないためにも、本格的シーズンに入る前からの準備が必要だ。トーヨータイヤジャパン営業本部の澤野正彦氏に、話を聞いた。

◆吸水とエッジ効果で滑りを防止

----:まずは初歩的なところで、スタッドレスタイヤが誕生した歴史を教えてください。

澤野氏(以下敬称略):スタッドレスタイヤが登場する以前にはスパイクタイヤが冬用タイヤとしてありました。このスパイクタイヤには金属製の鋲がついており、凍結路面におけるグリップ性能を確保していました。しかし、春先になるとこの鋲がアスファルトを削って、降雪地などでは粉塵問題が発生したのです。業界全体としてスパイクタイヤを減らしていこうということで、スタッドレスタイヤが誕生しました。

----:スタッドレス、ということはそのスタッドがないということですね。

澤野:はい、スタッドとは鋲のことでして、凍結路面をツメで引っ掻いて路面を掴むイメージがスパイクタイヤです。一方、湿ったガラスを手のひらで触っているとグッと手が吸い付く瞬間がありますが、凍結路面に吸着してグリップを確保するのがスタッドレスタイヤと、イメージしてもらったらいいと思います。

スタッドレスタイヤを見ると、タイヤの横には必ず各社共通で“STUDLESS(スタッドレス)”という表示が書いてあります。夏タイヤと比べて特徴的なのはブロックの中にあるサイプと呼ばれる細かい溝があることと、あとはゴムは柔らかい素材でできていて、タイヤ全体として溝が深いといった特徴があります。

そもそも、なぜ氷の上でタイヤが滑るのかというと、氷とタイヤの間に水膜が発生してしまうからです。スタッドレスタイヤの特徴となるサイプには、細かい溝を使って氷とタイヤの間にある水を吸い出して吸着させる効果があります。また、サイプのもう一つの機能としてはエッジ効果を狙っていて、タイヤに切れ込みを入れる事で作られたゴムの“ブロック”の角を使って氷を引っ掻く力を生んでいます。

◆季節に合ったタイヤを…雨天時は注意!

----:スタッドレスタイヤで走る時の注意点はありますか?

澤野:スタッドレスタイヤは、寒い場所での吸着性能を発揮させるために柔らかく作られていて、サイプも刻まれているのでブロックの倒れ込みが発生し、ステアリングの反応が遅かったり、ブレーキも効きにくくなります。また、水はけの性能も夏タイヤとは異なるので、特に高速道路を走る場合にはハイドロプレーニング現象に注意して走行しなければなりません、大雨の時には速度を控えて走ることが必要です。

基本的に夏には夏タイヤ、冬には冬タイヤを使っていただきたいです。スタッドレスタイヤと夏用タイヤは特性が異なりますので、雪が降らないうちに早めに交換し、乾燥路で慣れてから雪道を走られることをお薦めします。

----:雪が降ってきて慌ててタイヤを交換することも多いと思いますが、夏タイヤから冬タイヤ、スタッドレスタイヤにはどういったタイミングで交換したらよいのでしょうか。

澤野:性能面から言いますと、最近のスタッドレスタイヤは昔のものと比べても摩耗性能が向上していますので、乾燥路で使っていただいても極端に摩耗していくことはありませんし、流通面からみても、“大雪が降る”とわかるとタイヤを取り付けようとするユーザーの皆様が殺到してお店が混雑したり、需要が集中すると供給体制が整わない状況も生まれますので、本格的なシーズンに入る前に早めの交換をお薦めします。

◆寿命見極め、正しく保管

----:スタッドレスタイヤの寿命はどれくらいなのでしょうか?

澤野:使い方と保管の仕方で大きく変わってくるのが本当のところです。まず、スタッドレスタイヤには溝の半分までくると、ブロックの部分にプラットホームと呼ばれる段差が現れます。その時点で冬タイヤとしては使うことはできません。

また、年数を重ねたタイヤはゴムが固くなってきますので、凍結路面のブレーキ性能が落ちてきます。雪道やシャーベット路などの走行性能は溝の深さが関係していて、そこで安心してしまう方もおられますが、凍結路面ではゴムの柔らかさが効いてきます。より安全に使って頂くには毎シーズンのチェックに加えて、3年ぐらいを目安に交換時期なのか、知識のある専門のショップでよく確認してもらいたいですね。

----:保管する時に注意すべきことはありますか?

澤野:日が当たらない、風通しの良いところに保管するのが基本です。これは夏タイヤも同じなのですが、空気圧を半分位に下げて保管していただけると、より状態よく保管することができます。

◆ナノゲルや竹炭を配合…進化するスタッドレス

----:最近のスタッドレスタイヤ関連市場において、ユーザーの変化、タイヤに搭載している技術の変化について動向をお聞かせください。

澤野:最近はユーザーの方も、普及価格帯のスタッドレスタイヤで十分性能があることを理解されていて、価格を重視してタイヤを選ばれる方が増えています。当社の場合、最新世代の『GARIT G5』をプレミアム商品と位置づけて、従来モデルの『GARIT G4』も普及価格帯としてラインナップしてニーズに応えています。GARIT G5に関していうと、最新のアイス性能を体感したいお客様に加えて、運転に不慣れな女性など、より安心感のある商品をお求めしたいお客様に向けた訴求活動をしています。

スタッドレスタイヤの基本となるサイプ構造では、タイヤメーカー各社が3Dサイプを採用してきています。立体的にサイプを刻むことでブロックの倒れ込みが小さくなり、乾燥路を走った時の摩耗性能が向上しています。タイヤの素材面においては、当社の場合は引っかき性能を高めるためにクルミの殻を長年採用していますが、GARIT G5においては新たに氷点下においてもゴムの硬化を防ぐナノゲルや吸水力を高める竹炭を配合するなど、素材も進化し続けています。

それぞれ、各社独自の技術を採用して切磋琢磨しているのが現在のスタッドレスタイヤ市場です。昨今、ハイブリッドカーの普及などで燃費を気にされる方も多くなりましたが、夏タイヤでは低燃費タイヤで転がり抵抗性能とウェットグリップ性能、相反する性能を両立する技術が登場しています。当社のGARIT G5も、技術面では高いレベルにあると自負しています。さらに今後、新たなブレイクスルーを目指して進化し続けていきます。
《》

編集部おすすめのニュース

特集