現在、JAXAでは高度100km強、宇宙の入り口付近の科学的観測を行う観測ロケットを年に数回打ち上げている。S-310など観測ロケットの中でもそれほど到達高度が高くない部類や、先日、到達高度の記録を更新した高層気球については、サブオービタル宇宙飛行で観測ミッションのかなりの部分が置き換え可能だという。サブオービタル機であれば観測ロケットよりもはるかにコスト低減が見込まれ、同一対象の繰り返し観測も可能になる。ロケットの場合は観測機器が使い捨てとなってしまい、送信できるデータ量も無線で送受信できる範囲にとどまるが、サブオービタル器で観測機器ごと回収できるのであれば、もっと大容量のデータ収集が可能だ。また、実験担当者が「ペイロードスペシャリスト」としてサブオービタル機に同乗することで実際に宇宙を体験する教育機会が得られる効果も期待される。スペースシャトルでは1986年のチャレンジャー事故後に終了してしまった「Teacher in Space」プログラムの実現、普及ともいえるという。