数多くの消防車が並ぶ「東京国際消防防災展2013」で、消防隊員や自衛隊関係者が注目したボートがあった。フレッシュエアーが製造したエアーボートがそれで、なんでも佐々木甲社長が一人で手づくりしたものだという。
「東日本大震災で私の生まれ故郷、南三陸が津波で襲われるのをテレビで見たとき、エアボートがあれば、人を救助できるなと思ったんです」と佐々木社長は話す。当時、同社長は趣味でエアボートの製作を手がけていたが、東日本大震災をきっかけに本格的な救助用のエアーボートをつくることにしたのだ。
「私はラリードライバー、自動車整備工、塗装工、配管工、ダクトエンジニア、ラジコンヘリコプター・飛行機の製作会社、マイクロライト飛行機パイロットなどさまざまなことを経験しましたが、エアーボートをつくることを最後の仕事と考えました」
こう話す佐々木社長はエアーボートにさまざまなアイデアを盛り込んだ。例えば、先端に可動式の網を装着し、水中にいる人を掬えるようにした。これによって、操縦者が一人でも簡単に救出できるようになった。
また、船底に浮力材を引き詰め、浮沈構造にした。さらに、万が一転覆した場合のことも考え、船体を自動的に元の姿勢に戻すエスキモーロールシステム(転覆時姿勢復元装置)を搭載した。
「車輪も付いているので車で運べるし、短い距離なら自走することも可能です。これまで救助活動に向かうのが困難だったところにも、このボートなら大丈夫です」と佐々木社長。これからいろいろな人の意見を聞きながらさらに改良を進め、2014年に製品化する予定だ。