運輸安全委、京急脱線事故の報告書を公表…危険性判定基準などの見直し求める

鉄道 行政
2012年の京急脱線事故では、三崎口行き特急8両編成のうち前方の3両が脱線。乗客乗員56人が負傷した。
  • 2012年の京急脱線事故では、三崎口行き特急8両編成のうち前方の3両が脱線。乗客乗員56人が負傷した。
  • 船越第1トンネル手前の斜面が崩壊して線路内に土砂などが流入し、列車がこれに乗り上げて脱線した。
  • 脱線した1両目(左)と2両目(右)。線路内に流入したコンクリート基礎(写真右下)が被害を拡大したものと見られている。

国土交通省外局の運輸安全委員会はこのほど、京浜急行電鉄(京急)本線の追浜~京急田浦間(神奈川県横須賀市)で1年前に発生した脱線事故の調査報告書を公表した。

事故は2012年9月24日23時59分頃に発生。京成高砂発三浦海岸行き特急(8両編成)が追浜駅を定刻(23時56分)より約1分遅れて発車し、72km/hの速度で走っていたところ、運転士は約30~40m先に土砂などが線路内に流入しているのを確認した。非常ブレーキをかけたが間に合わず、土砂に乗り上げて1~3両目が脱線。土砂の先にある船越第1トンネル内で停止した。この事故で乗客55人と運転士1人が負傷した。

土砂の流入は線路脇の斜面の崩壊によって発生し、斜面に設置されていた落石防護柵のコンクリート基礎1個も線路内に流入した。このコンクリート基礎に1両目の前台車が乗り上がったことが被害を拡大したものと見られる。

斜面の管理体制については、京急の検査方法や記録方法に問題はなかったとした上で、定期検査や線路巡視によって著しい異常が確認できなかったことから斜面崩落の規模などを事前に把握することは困難だったとした。その一方、斜面の危険性を判定する基準やルールを見直すべきとし、運転規制についても類似する地形を再度抽出して降雨時の規制区間の見直しを検討することが必要との考えを示した。

《草町義和》

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