【フィアット パンダ 試乗】独特の個性を持つデザインと使い勝手…松下宏

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フィアット・パンダ
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『パンダ』の3代目モデルが発売された。パンダはフィアットの入門モデルとして独特の個性とポジショニングを持つクルマで、2代目モデルが絶版になった後はしばらく空白期間が置かれていたが、改めて復活を遂げた。

背の高い5ドアハッチボディを持つ使い勝手に優れたコンパクトカーという性格はこれまでと変わらない。ただ、かつてのパンダにあった4×4やダブルサンルーフなどは今回のモデルでは設定されていない。

ボディは2代目に比べてひと回り大きくなった。それでも日本の5ナンバー規格よりやや小さく、軽自動車規格よりはやや大きいといった位置関係にある。

外観デザインは、ルーフレールやプロテクションモールなどがSUV感覚をただよわせている。インテリアはイタリア車ならではのデザイン処理がなされていて、パンダの顔を連想させる白黒のパネルや、ドアトリムのシボの代わりに細かな“PANDA”の文字の刻印が使われるなど、独特の個性にあふれている。

ラゲッジスペースの容量は必要最小限といった感じだが、後席の背もたれが分割可倒式なので、これを倒せば一定の容量が確保される。また床下にアンダーボックスも用意されていて、小さなボディの割に使い勝手は良い。

グレードはイージーのみの設定で、搭載エンジンはフィアット『500』などでおなじみのマルチエア機構を組み込んだ2気筒版。900ccの排気量ながらインタークーラー付きターボの装着で、65kW/145N・mの動力性能を発生し、従来の1.2リッターエンジンに比べて大幅な性能アップが図られている。デュアロジックと呼ぶATモード付きのシーケンシャル5速MTと組み合わされる。

フィアット500の2気筒エンジンは動力性能はまずまずながら、騒音や振動が大きなことも特徴だった。でも今回のパンダ用のエンジンではそのあたりの改良が進んでいる。これまで特に気になったアイドリング時の振動や騒音もけっこう抑えられているからだ。走り出した後はバランスも良くなって振動も収まっていく。

変速時にトルク抜けが発生するデュアロジックも、500などに比べると良くなった感じがあるが、トルク抜けが解消されたわけではない。アクセルを踏み込むと思ったほどには進まない感じが残っていて、やはり慣れが必要だ。

高めの全高でアイポイントも高いので、開けた視界が生む運転のしやすさがあるほか、コーナーでも案外と落ち着いた挙動を示す。これは新しいスタビライザーの採用で、ロールを抑えるような設定にしているためだ。

シンプルな1グレード構成で価格は208万円。フィアット500のベースグレードが200万円を切っているので、装備の違いなどがあるにしても、パンダの価格設定はやや微妙なものがある。できれば200万円を切りたいところだった。

500とは異なる個性や5ドアハッチバックの使い勝手の良さを求めるユーザーから、パンダが一定の支持を得るのは間違いない。4×4やダブルサンルーフなども欲しい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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