キャセイパシフィック航空グループは、2013年6月中間連結決算の最終損益が2400万香港ドル（1香港ドル＝約12.71円）の黒字となったと発表した。前年同期は9億2900万香港ドルの赤字だった。
売上高は前年同期比0.6％減の485億8400万香港ドルとなった。旅客部門では改善が見られたものの、主要な航空貨物市場での需要低迷と航空燃料価格の高騰が収益を圧迫した。関連会社による損失も増加した。
同社では、2012年に収益力を高めるため、運航スケジュールの見直しや輸送能力の削減、燃料効率が劣る旧来型航空機の退役などを実行。この結果、2013年上半期は、燃料や機体整備に関連する運航コストが大幅に縮小されて収益が改善した。2013年上半期の同社グループの燃料費は前年同期比で8.5％減少した。
また、サービスの質やブランドに関わる分野では、新機材や新たなプロダクトの導入、香港国際空港での航空貨物ターミナル新設など長期的に利益に繋がる分野への大規模な投資を継続した。
旅客部門の業績は、キャセイパシフィック航空、香港ドラゴン航空ともに前年同期と比べて改善、輸送能力は同4.8％減となったものの、収入は同0.8％増の349億7800万香港ドルとなり、座席占有率も1.2ポイント増の81.3％となった。
平均旅客単価（旅客1人を1キロメートル輸送することで得る収入の平均）は4.4％改善し69.0香港セントとなった。長距離路線での旅客需要は全クラスともに堅調に推移したものの、輸送能力増強を図った中近距離路線では需要が弱含みとなり平均旅客単価を圧迫した。
貨物部門は2011年4月以降の長引く需要低迷による影響を受け、収入は同5.2％減の112億7800万香港ドル。キャセイパシフィック航空とドラゴン航空を合わせた貨物輸送能力は1.8％減少し、貨物占有率は1.9ポイント低下の62.4％、貨物単価（貨物1トンを1キロメートル輸送することで得る収入の平均）も3.3％減の2.33香港ドルとなった。需要低迷に伴って貨物専用機の輸送能力は調整し、コスト削減の観点から旅客便の貨物スペースを活用した貨物輸送の強化を図った。
同社グループでは、継続的に最新鋭機材の導入を進めており、2013年上半期は2機のエアバスA330-300型機、3機のボーイング777-300ER型機、1機のボーイング747-8F貨物専用機の計6機を新たに受領するとともに、4機のボーイング747-400型旅客機を退役させた。
また、2013年3月にはキャセイパシフィック航空グループ、ボーイング、中国国際貨運航空、中国国際航空の間において貨物専用機の取引に関する包括的契約が結び、キャセイパシフィック航空は新たに3機のボーイング747-8F貨物専用機を購入することで合意した。受領は2013年下半期に予定している。この包括的契約では8機のボーイング777-200F貨物専用機の購入のキャンセル、5機のボーイング777-200F貨物専用機のオプション契約、4機のボーイング747-400BCF（旅客機転用型貨物機）の売却を含む。4機のうちの3機はすでに引き渡しを終えている。
2012年のコスト削減に伴って減便となった長距離路線の旅客便は、2013年9月までに全て運航を再開する。また、6月には香港／ロンドン線を毎日4便から5便へと増便しており、10月には週4便でモルディブのマレに就航する。
2014年3月には米・ニューヨーク・ニューアーク空港へのデイリー便運航開始を予定している。
香港ドラゴン航空は香港とダナン、温州、ヤンゴン、鄭州の各都市を結ぶ路線を新たに開設し、アジア域内でのネットワーク拡大を図っている。2013年10月からは季節運航でカンボジアのシェムリアップへ週3便での運航開始を予定している。
キャセイパシフィック航空は2013年第4四半期に香港～グアダラハラ（メキシコ）線で貨物専用機による運航を開始する。
プロダクトの分野では、2012年に導入を開始したプレミアム・エコノミークラスへの人気が高まっており、エコノミークラスの平均旅客単価上昇に貢献している。また、2013年1月より導入を進めている中近距離路線用の新ビジネスクラスについては、2014年12月までに対象となる全機材への装着が完了する予定。
今年7月にはボーイング777-300ER型機のファーストクラスのリフレッシュを図るための改良を開始した。香港ドラゴン航空でも新ビジネスクラスとエコノミークラス、最新の機内エンターテイメントシステムの導入を進めている。香港国際空港のラウンジについても今年2月に「ザ・ウィング」のファーストクラス・ラウンジの改装を終えるとともに、5つ目の出発ラウンジとなる「ザ・ブリッジ」の開業を今年後半に予定している。
