7月13日、全日本選手権スーパーフォーミュラ(SF)第3戦の公式予選が富士スピードウェイで行なわれ、6月にルマン24時間レースで初優勝したロイック・デュバルがSFの今季初ポールを獲得。22歳の若手・国本雄資が0.026秒差で自己最高の予選2位に食い込む健闘を見せた。
僅少差の接戦は日常茶飯事ともいえるSFの予選だが、この日はまさにそういった展開。全19台が臨んだQ1から、Q2進出14台、Q3進出8台とノックアウト方式で台数が絞られていく過程においても、Q1の14~15位が0.002秒差、Q2の8~9位が0.008秒差と、常に熾烈な攻防が演じられたのである。そして最終的にQ3でトップ4を占めた面々のタイム差も、わずか0.086秒。この激戦を制して、デュバル(#8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans/トヨタ)がポールポジションを獲得した。
「SFは常に接戦だが、富士では特に接近した状況になる。マシンは朝のフリー走行からコンペティティブだった。ポールが獲得できて、とてもハッピーな気分だよ」と語るデュバルは、コースインした翌周から本格アタックに入る積極策を採った。
ニュータイヤを早めにウォームアップできる仕上がりのマシンあってこその作戦だが、デュバル担当の山田健二エンジニアは「とにかく最初から全開でいかなければならないし、他陣営はコースイン翌々周からのアタックだったので、いいタイミングが取れるようにコースに入る時期も工夫していきました」との旨を語る。
Q3ではコカ・コーラコーナー~100Rで「(走行ラインが)ワイドになってしまった」(デュバル)というミスもあったが、結果的にはすべて「うまくいきました」(山田エンジニア)。明日の決勝、デュバルはルマン制覇に続く“連勝”と、SFでは自身3年ぶりの勝利を目指すことになる。
接戦ではあっても富士ではトヨタ優位、という近年の構図もまた変わらず、6位までをトヨタ勢が独占。そして、並みいる先輩強豪ドライバーを抑えて2位に食い込んだのが、国本(#39 P.MU/CERUMO・INGING)である。
デュバルとジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(#19 Lenovo TEAM IMPUL/予選3位)にはQ3でわずかなミスがあったことを考えると、「ドライビングはほぼ完璧でした」という国本は、高次元の超接近戦のなかでマシン的には「ちょっと足りない面があったのかもしれません。でも、満足のいくアタックができて良かったです」。初表彰台、そして初優勝をも狙える好位置確保である。参戦3年目の新進気鋭の台頭に明日も期待が高まる。
予選4位は国本のチームメイトである平手晃平(#38)。5~6位には中嶋一貴(#1)、アンドレ・ロッテラー(#2)とPETRONAS TEAM TOM’S 勢が並んだ。ホンダ勢のQ3進出は2台で、最上位は7位の山本尚貴(#16 TEAM 無限)。中嶋悟監督の次男で、一貴の弟の中嶋大祐(#31 NAKAJIMA RACING)が8位。
曇りだったこの日は予期されたほど暑くならなかったこともあり、予選での最速タイムはQ2でデュバルがマークした1分24秒557と、前々日に来季新型車「SF14」が記録したベストタイム(トヨタエンジン車/一貴)よりコンマ1秒ほど速かった。比べる意味があるかどうかはさておき、現役5年目のSF13(旧名FN09)が世界最速量産フォーミュラの先輩としての面目を保った格好となっている。
55周、約250kmの距離で争われる決勝レースは、明日(14日)の14時15分スタート予定だ。