BASFは3月に自動車シートのグローバルデザインコンペ“sit down.move.”の受賞者を発表。そこで特別賞を受賞したトヨタ紡績とBASFジャパンは、受賞作品である“アプタス”の共同開発に着手した。
BASFジャパン オートモーティブ日本 デザインファブリック東京の田中井俊史氏は、このデザインコンペ開催の背景について、BASFという総合化学会社だからこそ行ったものだと話す。「取扱商品には、エンジニアリングプラスチックやポリウレタンなどの機能性構造材。そこに色彩や表現力をつける顔料や塗料などがあり、これら化学品を組み合わせ最終的に造形物になります。その商品価値や魅力を訴求するデザインやアートの力が、商品価値を語るうえで重要になってきています」と述べる。今後としては、「化学会社らしい材料とスペックのみの提供を超えて、顧客のデザイナーがもともと思い描いているデザインを具現化できるよう、材料選定や材料の持つ特徴や質感、色のアドバイスなど、デザイナーのサポートに注力していきたい」とした。
シートを対象に選んだことについては、「BASFの複合的な強みがまだまだ発揮できると思われることから、化学品として新しい価値を提案できると考えました。例えば軽く出来たり薄く出来たり、薄くなれば室内長も取れ、人間工学も伴って意匠性もある。そういう提案をいただくべく、シートデザインコンペをグローバルに開催しました」と説明した。
“sit down.move.”の課題について田中井氏は、「BASFの素材をイノベーティブに使用し、将来の自動車シートのデザインをイメージするもので、コンセプト設定は自由。作品は、シートがどのようなソリューションをもたらすかというコアメッセージを明記することと、BASF素材を使用することです」とした。
作品の中から最優秀作品賞1つ。優秀作品賞2つ。応募内容のクオリティが非常に高かったことから、特別賞が3つ作られ、特別賞のひとつである、“素材活用度”で、トヨタ紡織のクリスチャン・デリース氏デザインの“Aptusが受賞。「素材を理解したシート作り、かつ、BASFの持っている素材が実用的に考慮され、エンジニアリング的にも正統性のあるシートと評価され受賞となりました」と語った。