宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、イタリア宇宙機関(ASI)の協力を得て「きぼう」日本実験棟船外実験プラットフォームを利用する宇宙科学ミッション「高エネルギー電子、ガンマ線観測装置」(CALET)を開発したと発表した。
CALETの開発では、JAXAとASIが協力協定を結び、JAXAからはCALETの観測データを提供し、ASIからは同様の観測機器の開発経験を持つイタリア側研究者の支援、CALET構成機器の一部を提供してもらう。
協力関係により、装置の新規開発における技術的リスクを低減するほか、科学的成果の国際的価値を高めることに貢献する。
協力の一環としてJAXAは、ASIからガンマ線バーストモニタ(CGBM)用の高電圧電源を、カロリメータ(CAL)用の高電圧電源(HV-BOX)をそれぞれ受領した。
HV-BOXは、CALET内部で高エネルギー宇宙線を観測するカロリメータという観測機器に高電圧を供給するための装置。宇宙で利用実績がある高電圧電源の設計を基にCALET用に開発した。
高電圧電源は今後、CALET全体システムに組み込まれ、地上試験を経た後、2014年度打上げ予定の宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機(HTV5)によって国際宇宙ステーション(ISS)へ運ばれる予定。
CALETの観測によって、宇宙線の発見以来100年を経た現在でも未解明な高エネルギー宇宙線の加速・伝播のメカニズム、暗黒物質の探索、ガンマ線バーストのメカニズム解明など、世界に先駆けた新発見を期待している。