【VW ティグアン 試乗】2WD車にも一定の存在意義がある…松下宏

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『ティグアン』のようなSUVタイプのクルマでも、最近はFF(2WD)車の販売比率が高まっている。これはティグアンに限ったことでなく、いろいろなSUVでそうした傾向がある。

頭が古いと言われるかもしれないが、個人的にはSUVのようなクルマは4WDでなければ意味がないように思う。4WDの必要がないなら普通のセダンなどに乗れば良いのにと思うのだ。

SUVタイプのクルマには、高めの着座位置による開けた視界と運転のしやすさや、万一の事故時に比較的安全であることなどのメリットがある。そうしたメリットを生かすとともに、2WDであることによる価格の安さや燃費の良さも魅力に感じるユーザーが多いのだろう。

今回試乗したティグアンに関していえば、4WDでは受けられないエコカー減税が2WD車には適用されるという違いもある。

積雪地のユーザーなら無条件で4WDを選ぶことになるのだろうが、東京のように雪が降るのは年に2~3回という温暖な地区では、2WDにも一定の意味がある。

そんなこともあって、ティグアンにもFF車が追加された。箱根の芦ノ湖スカイラインを中心に試乗したが、2WDであることによるボディの軽さが、走りの軽快さにつながっている部分もあり、まあ、これも悪くはないな、という気分にさせられた。

ティグアンの4WDには2.0リッターのTSIエンジンが搭載されるのに対し、2WDのTSIブルーモーション・テクノロジーに搭載されるのは1.4リッターのTSIエンジンだ。シングルターボではなくターボ+スーパーチャージャーのツインチャージ仕様である。

1.4リッターとしては比較的パワフルな仕様のエンジンで、110kW/240N・mの動力性能を発揮するものの、車両重量が1540kgに達するティグアン用としてどうかという懸念もあった。でも考えてみれば更に300kgも重い『シャラン』にもこのエンジンが搭載されている。ティグアンを走らせるには十分な実力である。

停止状態からフル加速でもするならともかく、普通に走らせている分にも何の不満もないし、芦ノ湖スカイラインのようなワインディングでも意外なくらいに軽快で、すいすいと走っていく感じがある。これでいいんじゃないと思わせる部分があるのは認めざるを得ない。

着座位置は高めだが、ティグアンを走らせたときの感覚は『ゴルフ』を走らせるのに近い。足回りの安定感などがそうした印象を強めているのだろう。だったらゴルフで良いのではと思う部分はあるが、ティグアンの2WD車にも、それなりの存在意義があるのが分かった。

それでもまだ、ティグアンのFF車を積極的に進めようとは思わないが、選択肢のひとつであることは認めていい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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