商船三井は、シンガポールのKEPPEL造船所で、日系船会社で初めて、就航中の大型原油タンカー「LIBRA TRADER」にバラスト水処理装置の設置工事を完了したと発表した。
同船は既に航海に復帰しており、今後装置の調整運転を経て実際の運用を行う予定。装置はJFEエンジニアリング製。
今回、大型原油タンカーの入渠工事集積地であるシンガポールで初めての搭載工事実績となった。
原油タンカーのバラスト水処理装置の設置工事は、狭隘な区画であるポンプルームが主要な施工場所となり、高度な安全管理、工程管理が求められる。設置工事は、事前準備・計画段階から施工完了まで、造船所と協議しながら実行した。商船三井では、これらの搭載計画、実際の設置工事を通じて得たノウハウを基に、今後の円滑な対応に向けて準備を進める。
貨物の積荷役にあわせて排出されるバラスト水は、海洋生物を越境移動させ、海洋生態系、生物多様性の保全に対し影響を与える恐れがあり、1980年代後半から国際的に問題視されるようになった。IMOは2004年2月に「バラスト水管理条約」を採択され、発効に向けて各国で批准が進んでいる。
今回の搭載プロジェクトは、商船三井の環境戦略目標の一つ「生物多様性保全への貢献」に対する取組みの一環であり、今後も、低環境負荷輸送ソリューション提供のための活動を推進するとともに、搭載工事経験、運用経験を蓄積していくことで、批准が進むバラスト水管理条約に対応していく。