カンボジアの正月といえば4月。しかも、毎年新年の日時は変わり、何時何分まで細かく発表される。これはどこから来ているのだろうか?
カンボジアでは、「春分」からお正月が始まっている。つまり、天文学的に太陽が春分点を通過した瞬間に年が明けるのだそう。だから、毎年その時間は変更するし、正確に何時何分まで発表されるというわけ。
春分点とは、天文学的には太陽の通り道である黄道と天の赤道が交わる点。いわば天文学上での1年の始まりと言える位置なのだ。
ここでひとつ疑問が。同じ「春分点」をもとにしているはずなのに、日本の「春分の日」は3月。どうしてカンボジアの正月と時期の差があるのだろうか?
これは、ギリシャ時代までさかのぼることになる。当時は春分点がおひつじ座の中にあった。春分点=太陽がおひつじ座に入るとき=新年という概念だった。
それが地球の自転軸がコマのように首を振る歳差運動によって、現在では春分点はうお座の位置に移動してしまった。日本の春分の日は、現在の春分点の位置をもとに日付を決めているので、3月にある。
一方カンボジアでは、ギリシャ時代のまま、「おひつじ座」を1年の出発点としている。春分点=太陽がおひつじ座に入るとき、なのだ。だから、カンボジアのお正月は4月だと言われている。