【スバル フォレスター 試乗】ふだんの心地良さも大切…金子浩久

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  • スバル フォレスター 新搭載の X-MODEを雪上で実力検証
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世界的に、コンパクトSUVとかクロスオーバーと呼ばれるクルマの発表が相次いでいる。

地の果てを目指すのでなければ、副変速機が付いているような大型で本格的なSUVは必要ないことにみんな気付き始めたからだ。たまのスキーやキャンプぐらいに出掛けて、あとはほとんどアスファルトの上を走っているのだから。

それでも、乗り較べてみると、クルマ毎にオンロード向きなものとオフロード向きなのものに自ずと分かれてくる。

スバル・フォレスターはオフロード向きに入るだろう。それはスペックを見てみれば一目瞭然だ。オフロード走行にとって最も重要な最低地上高が220ミリもあるのだ。先代フォレスターのNA版よりも5ミリ上げられた。

最低地上高と併せて大切なのは、対地障害角が十分に確保されているかどうかだ。斜面に乗り上げる時のアプローチアングルが25.0度、斜面から平坦地に降りる時のディパーチャーアングルが26.0度、斜面や丘部の頂上を乗り越える時のランプブレークオーバーアングルが22.0度とそれぞれ十分な角度が確保されている。これらの値は日本製のライバルたちは足元にも及ばず、本格的なオフロードタイプの大型SUVに続くものだ。

テストコースの斜度40度の土の斜面に挑んでみると、楽々と登り切った。新装備の「X-MODE」の効能だ。エンジン回転やスロットルレスポンス、トランスミッションなどを統合的に電子制御するデバイスだ。ランドローバー各車の「テレインレスポンスシステム」は路面毎に4つないし5つのモードをドライバーが選ぶが、X-MODEはオンかオフのみのシンプルなものだ。

意地悪く、斜面の途中で完全に停止し、そこから再び登り始めてみた。ブレーキペダルから右足を離し、スロットルペダルを踏み込むまでのコンマ何秒の間にフォレスターは少しズリ下がってもおかしくはなかったが、こうした状況でズリ下がりを防止するヒルホルダーブレーキが働き、停止位置から動き出すことができた。

X-MODEにはヒルディセントコントロールという機能が組み込まれていて、どんな急斜面でも20km/h以上出ないように4輪のブレーキを個別にコントロールしてソロ~リソロリと下ろしてくれる。

最初はコワいからブレーキを踏んでしまうが、その必要はない。どのペダルにも足は置かず、クルマ任せで下りていっていい。ちょっと不思議な感覚だが、電子制御技術の勝利以外の何ものでもないだろう。

オンロードでは特にターボモデルでの滑らかな加速が印象的だ。CVTのタイムラグも気にならない。

新型フォレスターは、オフロードでの走破性の高さは出色のできで、オンロードでもスバルらしい気持ち良い走りを備えている。ドライバーズカーであることは間違いないのだが、その反面、熟成を期待したいのは乗り心地と静粛性だ。鏡のようなアスファルト舗装路面ではまったく問題ないのだが、舗装が古くなって剥がれ掛かっていたり、細かな段差があるような荒れた路面からの振動と鋭い突き上げなどをうまく吸収し切れていない。ボディの共鳴音の響きも一気に大きくなってくる。そうした路面はスキー場やキャンプ場の周囲にこそ多いのだ。街中でも使われることが多いコンパクトSUVなのだから、ふだんの心地良さも大切だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア・居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

金子浩久|モータリングライター
1961年、東京生まれ。主な著書に、『10年10万キロストーリー 1~4』 『セナと日本人』『地球自動車旅行』『ニッポン・ミニ・ストーリー』『レクサスのジレンマ』『力説自動車』(共著)など。

《金子浩久》

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