カナダ国立研究機構は、世界初の100%バイオジェット燃料で動く民間航空機のテスト飛行を、カナダ・オンタリオ州オタワで実施。温暖化ガスの排出削減効果を確認したと発表した。
バイオジェット燃料に関するプロジェクトは、カナダ国立研究機構(NRC)が主導、米国のアプライド・リサーチ・アソシエーツとシェブロン・ルムス・グローバル、カナダのアグリソマ・サイエンシズが開発を担当した。テスト飛行に使用したバイオ燃料は、半乾燥地域での栽培に強いアビシニアガラシという植物種子を原材料としている。
テスト飛行では、このバイオジェット燃料を積んだ仏ダッソー社製ジェット機「ファルコン20」が、オタワ~モントリオール間を往復。カナディア社製のジェット機「CT-133」がファルコン20の後ろを飛行して排出データを収集した。
飛行中に集められたデータを専門家チームが分析したところ、バイオ燃料を使用した場合、従来の燃料との比較でエアロゾルの排出が50%削減されていることを確認した。さらに、エンジン停止状態で行った追加試験では、従来の燃料との比較で、最大25%の粒子の排出削減、黒色炭素の排出量49%削減が確認された。
カナダ国立研究機構のジョン・R・マクドゥガル代表は、「これらの結果を大変喜ばしく思う。テスト飛行はスムーズに運び、集められたデータから、環境へのバイオ燃料の影響について、理解を深めることができた。今後もパートナー企業と協働し、この効率的なエネルギーソリューションの実用化を目指す」とコメントした。