【クライスラー 300 試乗】高級車らしさを感じさせるインテリア回り…松下宏

試乗記 輸入車
クライスラー300
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クライスラーブランドとして実に4年半振りとなる新型車クライスラー『300』が発売された。フィアット傘下に入ったクライスラーが改めて日本ビジネスに取り組もうという姿勢が明確に示された。

新しい300は基本プラットホームは従来のキャリーオーバーで、堂々たるオーソドックスな4ドアセダンであることもは変わらない。今回のモデルではワゴンの設定はなく、セダンのみが発売された。

外観デザインは見るからに存在感のある威風堂々といった感じ。全体にクオリティアップが図られ、見た目の高級感は一段と高められている。外観以上に良くなった印象が強いのは内装で、作り込みの良さや大幅な質感の向上が見て取れる。

試乗車は上級グレードの300Cラグジュアリーで、ナッパレザーの本革シートやイタリアの高級皮革メーカーであるポルトロウナフラウ社製の“フォリーニョ”と呼ぶレザーのインテリアトリムが採用されていた。

良くなったとはいえ、細かな部分の作り込みにはまだまだといった感じも残っていたので、ヨーロッパのプレミアムブランド並みとまではいかないが、全体に高級感にあふれた内外装の仕様であるのは間違いない。

ブルーのLED照明を備えたメーターパネルは印象的で、斬新なイメージの高級セダンを強調する。逆に大きな液晶画面を持つメモリーナビは高級感のあるインテリアの雰囲気から浮いた感じも受ける。このあたりが微妙なところだ。

ボディがサイズ的にも大柄なもので、全長は5.0mを超え、全幅も1.9mを超えている。このため室内空間の余裕は十分だ。大きめサイズのシートには、大人4人がゆったりと座れるし、トランク容量もたっぷりと確保されている。

搭載エンジンはV型6気筒3.6リッターの可変バルブタイミング機構付き自然吸気DOHCエンジンで、210kW/340N・mのパワー&トルクを発生する。従来の3.5リッターエンジンに対し、動力性能を向上させながら燃費も向上させている。

ZF製の電子制御8速ATと組み合わされた走りは滑らかそのものだ。市街地などを走っているときには8速ギアには入らない設定だが、中速域での3~6速の変速は滑らかそのもの。気付かないうちに変速している感じだ。

時速80kmを8速ギアを使って走るときのエンジン回転数は1000回転をちょっと超える程度。このギア比なら高速クルージングでの燃費は相当に良いものになりそうだ。

シフトレバーはセンターコンソールに設けられているが、300Cラグジュアリーではステアリングホイールの裏側のパドルを使ってのマニュアル操作も可能である。

乗り心地はけっこう硬め。というか、300Cラグジュアリーには20インチタイヤが装着されていて、これが乗り心地の硬さを感じた理由と思われる。ベースグレードの300リミテッドは18インチタイヤを履いている。恐らくはこれがジャストフィットなのだろう。

300リミテッドの価格は400万円を切り、Cクラスや3シリーズと競合するような設定。上級グレードの300Cラグジュアリーは538万円の設定で価格は一気に高くなるが、前述の本革シートや本革インテリア、サンルーフ、アダプティブ・クルーズコントロール、ブラインド・スポット・モニター&リア・クロスパス・ディテクションなどが装備される。

大柄なアメリカ車に魅力を感じる人が選ぶクルマなので、予算に余裕があるなら豪華装備を備えた300Cラグジュアリーを選びたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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