NECは、府中事業場(東京都府中市)の敷地内に、人工衛星の組み立てや評価・試験などを行う工場を新設すると発表した。
新工場の稼働開始後、既存工場と合わせて人工衛星の組み立て能力は最大8機となる。
新工場は、鉄骨造4階建て、延べ床面積9900平方メートルで、大型スペースチャンバーや最大26mの室内高を持つ大空間作業室を備え、大型衛星に対応可能な構造とする。
また、震度7クラスの地震を受けても継続使用可能な堅牢な建屋とする。
投資額は建屋・設備を合わせて約96億円。経済産業省のイノベーション拠点立地推進事業「先端技術実証・評価設備整備費等補助金」の採択事業となっており、NECの実質的な投資額は約76億円の予定。
新工場は今年3月から着工し、2014年6月から稼働させる計画。
同社は、1970年に打ち上げた日本初の人工衛星「おおすみ」を始め、小惑星イトカワからのサンプルリターンを達成した小惑星探査機「はやぶさ」や第一期水循環変動観測衛星「しずく」など、これまで66機の人工衛星のインテグレーション(取りまとめ)を担当してきた実績を持つ。
既存の相模原事業場(神奈川県相模原市)に展開する小型衛星組み立て工場に加えて、今回の新工場建設で、衛星標準バス「NEXTARシリーズ」の自社一貫生産体制を整備し、環境監視・災害監視・測位などの衛星インフラ整備、アジアを始めとする宇宙新興国の衛星需要などを積極的に取り込む構え。
2020年に宇宙関連事業規模1000億円を目指す。