ボクはクルマが好きというより運転することが好きだ。クルマの評価も運転することが中心になるし、運転していて愉しいクルマを選ぶことになる。だからドライビングに関しては少々厳しい見方になってしまうこともある。またエンジニアが自慢したがるような凝ったメカニズムも好きだ。実際に乗ったときに効果を感じる技術的な進歩は愉しいからだ。今年はクリーンディーゼル元年といってもいいだろう。とはいってもメルセデスベンツ『Eクラス』のセダンとワゴンにはかなり前からディーゼルエンジンモデルがラインナップされていたし、アルピナ『D3 Biturbo』はニコルが180台輸入して売り切った。日本車にも日産『エクストレイル』や三菱『パジェロ』にもディーゼルエンジンが用意されている。そんなプロローグの中からBMW『3シリーズ』(セダン/ツーリング)とマツダ『CX-5』のクリーンディーゼルが日本市場に登場した。実際に走ってみると、ディーゼル特有のトルク感は回転を上げて発揮する馬力とは違うが、この加速感が愉しい。また単に燃費の良さだけでなく、RANGE(航続距離)の長さがドライブの楽しさも膨らませていることを感じる。そんな観点で10ベストカーから5台選んで25点の持ち点を以下のように分配した。●トヨタ『86』/スバル『BRZ』:5点●日産『ノート』:0点●ホンダ『N BOX』/『N BOX+』:0点●マツダ『CX-5』:5点●スズキ『ワゴンR』/『ワゴンRスティングレー』:2点●フォルクスワーゲン『up!』:0点●BMW『3シリーズ』(セダン/ツーリング):10点●シトロエン『DS5』:3点●アルファロメオ『ジュリエッタ』:0点●レンジローバー『イヴォーク』:0点BMW3シリーズは、ガソリンだけでなく、ディーゼル、ハイブリッドという3種類のパワーソースを用意している。基本は8速オートマチックトランスミッションだが、320iには6速マニュアルトランスミッションが用意され、フルタイム4WDのxDriveもラインナップされた。単にドイツ車という枠に閉じこもらず日本市場に向けて力を注いでいることがうかがえる。そして走ってみればBMWらしく運転席が一番楽しいシートだった。前後50対50の重量配分の効果が大きく、ハンドリング性能は他車とは比べ物にならない高いレベルにある。新しい3シリーズは、このセグメントのベンチマークとして輝いているので10点を入れた。菰田潔|モータージャーナリスト/日本自動車ジャーナリスト協会副会長学生時代から始めたレースをきっかけに、タイヤのテストドライバーになり、その後フリーランスのモータージャーナリストに転身。クルマが好きというより運転が好きなので、その視点でクルマの評価をしている。日本自動車ジャーナリスト協会副会長、JAF交通安全委員会委員、警察庁(交通企画課/運転免許課)各種懇談会委員、グッドパーキング選考委員、全国道路標識・標示業協会理事、BMWドライバー・トレーニング・チーフインストラクターなどの肩書を持つ。スポーツドライビングやセーフティドライビングの実技講習だけでなく、2002年からはトラックドライバー向けのエコドライブ講習も手掛け好評を得ている。