東京ビッグサイトで開催された「危機管理産業展(RISCON)2012」には、“世界初”をうたい文句にするものがいくつかあった。そのうちの一つがタキモトワークス(本社・大阪府摂津市)の「SEA-SLED(シースレッド)」だ。
これは水上バイクで牽引する水難救助専用機材で、ボートに似た形になっている。「水難救助ではこれまでゴムボートが主に使われていたのですが、それだと船外機が邪魔になって浅瀬を進むことができず、また溺れた人をボートに乗せるときに非常に苦労したのです。それで、20年の水上バイク開発の経験を元に地元のレスキュー隊と共同で、現場の声を反映させたものをつくったわけです」と同社関係者は説明する。
開発に3年半かけた製品にはさまざまな工夫がなされている。例えば、材料はFRP(複合材料)を使用し、重量は70kg。機動性を重視し、大人2人で運べる重さにしたのだ。また、水難救助者を簡単に引き上げられるように、後方のフラップが下がる仕組みになっている。
船底は、水上バイクのウォータージェット水流の影響を受けない形状で安定走行が可能になった。上部が平になっているため、救助者の応急処置もしやすい。牽引できる台数が1台だけでなく、数台連結することも可能だという。
「これから販売する予定ですが、すでに全国のレスキュー隊からの反響が大きく、問い合わせも殺到しています。使ってもらうためには格好良さも大事なポイントですから、デザインにも気を遣いました。その辺りも反響が大きい理由かも知れません」と同社関係者。
価格は400万円で、まずは国内から販売を開始し、海外での販売も計画する。