台湾で10年待ちになるなど世界各国で人気を呼んでいるトヨタ自動車のスポーツカー『86』。その報道陣向けの試乗会が富士スピードウェイのサーキットコースで行われた。用意された『86』は走りを楽しむためにさまざまな工夫を施された3タイプ。
なかでもユニークだったのが、エアロスタビライジングフィンと呼ばれる長さ5~20cmの流線形の物体。カジキマグロを参考にしてつくられたもので、それを車体の横に数カ所張り付けるだけで、走りが格段に良くなるというのだ。
「車を速く走らせるうえで、一番重要なのは空力を制御することなんです。そのためには車の上下だけでなく、車の横もスムーズに気流を流す必要があります。そこで、さまざまな検討を行い、その答えを海のなかに求めたのです」とチーフエンジニアの多田哲哉氏。
どの魚が一番早く泳ぐのか。それはカジキマグロだった。多田氏ら開発陣は形状を徹底的に分析、そして生まれたのがエアロスタビライジングフィンだったわけだ。
実際にフィンつけた『86』を運転してみると、確かにつけていないもの比べて大きく違った。特にカーブを曲がるときがそうで、路面にタイヤが張り付くように曲がることができ、運転がうまくなったと錯覚するほど。
「86はこれからもどんどん進化を続けていきます。そして、いろいろなタイプのものが出てくると思いますよ」と多田氏は話し、500万円を超える高級バージョンの登場も否定しなかった。