日本電波工業は、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)対応の家電機器とスマートメーターによる小型、高性能な920MHz帯SAWフィルターを開発した。
国内でのホーム・エネルギー・マネジメントは、エネルギー消費の制御をするために家電機器とスマートメーター間を無線ネットワークで結び、920MHz帯を利用して国内法で許可されている1W以下の弱い電波(特定小電力無線)を使う。
従来、周波数帯域には他の強い電波が少なく、影響を受けることは少なかったが、900MHz帯の周波数再編による割り当て変更に伴って、近い帯域でLTE携帯端末の強い電波が使われることになった。携帯端末による電波干渉を抑えてHEMS機器とスマートメーター間での正確な無線通信を行うためには、必要な周波数のみ取り出し、不要な周波数を確実に減衰させる高性能なフィルターが必要となる。また、家電機器の無線部のモジュール化にも対応した小型・低背サイズが要求される。
今回、こうしたニーズに対応するため、SAWフィルターを開発した。これまで同社が蓄積してきた産業用途向け特定小電力無線技術の実績を活かして、新たに一般家庭用としてのニーズに対応して商品化した。
サイズは1.4×1.1×0.55(mm)の小型タイプと、信頼性の高い3.0×3.0×1.05(mm)の2種類。標準周波数は、920.1MHz(帯域幅6.8MHz)、922.5MHz(同、4MHz)、924MHz(同、8MHz)、925.8MHz(同、4.6MHz)を揃え、標準仕様以外のカスタム要求にも迅速に対応する。
このフィルターを活用することでHEMS対応の家電機器とスマートメーター間の正確な無線通信が可能となり、ホーム・エネルギー・マネジメントに貢献する。
サンプルは対応中で、2013年1月から量産開始する予定。
開発品は10月2日から幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2012」に出展する。