ニューヨークの町並みを見渡すストリートサーキットで来年から開催される見通しだったニュージャージーGP(グランプリ・オブ・アメリカ)の開催が風前の灯火だという。
バーニー・エクレストンによると、主催者側は期限内に契約書に署名しなかったのだという。地理的にはニュージャージー州となるウェストニューヨークとウィーホーケンにまたがる全長5.1kmの市街地サーキットでグランプリを開催するという構想は、昨年の10月に鳴り物入りで発表された後の続報がほとんどなく、ここに来てエクレストンが開催の可能性が遠のいたことを認めたもの。
「開催はないかもしれないな。私としてはやってもらいたいと思っているが、現地主催者が資金的な手続きに手間取っているようだ。2013年のグランプリ開催は、彼ら次第だよ」
ニュージャージーGP(グランプリ・オブ・アメリカ)開催を主導しているのは、レオ・ハインダリーというアメリカのファンドマネージャーだ。公的資金は一切使わないという触れ込みだが、資金的なスポンサーは明らかにされていない。
他方、エクレストンは他の開催候補地よりもニューヨークに対しては寛容に対応してきたようだ。F1は過去40年近くもニューヨーク近郊での開催を希望しながら、果たせなかったという経緯があるためだ。
エクレストンが開催危機を漏らした後に、ニュージャージーGP主催者側の広報担当者は反論している。
「F1との契約関係やその細部についてコメントすることはできません。当方は2013年の開催に向けてコース設営プランや必要な建設工事など全て予定通り行動しています。ニュージャージー州やニューヨーク市、開催自治体などから強力なバックアップも得ています。2013年F1グランプリ・オブ・アメリカの成功を疑って止みません」
今年の11月にはテキサスでUSグランプリが開催されるなど、この先1年以内にアメリカで新しいレースが2度も開催される予定だった。テキサスGPの場合も必ずしも順調ではなかったが、今は最終的な開催に向けて進行中のようだ。
NASCARに比べてF1の人気が極端に低いアメリカに再び上陸しようというエクレストンの計画の基礎となるべき2レース。現在交渉中のコンコルド協定では、F1開催数を年間20戦に増やすことになっており、協定が成立すればおそらくアメリカの開催地をさらに増やしたい思惑が見え隠れする。
※記事内容を区別するために、2012年11月開催予定のF1 US GPを「テキサスGP」、2013年6月開催予定のF1GP of Americaを「ニュージャージーGP」として表記します。