フルモデルチェンジしたトヨタ『カローラ』は、スタイリッシュなデザインとユニバーサルデザインが融合して生まれた。
「ユニバーサルデザインをスタイリッシュにまとめるには、知恵と工夫がいりました。いわば腕試しをされているようなクルマだなという想いです」とは、デザイン本部トヨタデザイン部主幹の高澤達男さんの弁。
今回のカローラはボディをコンパクト化(全長マイナス50mm)させた。しかし、「そのクラスの車格感は維持、あるいは向上させなければいけません。コンパクトにしたからベーシックカー的でいいかというとそういうわけにはいかないのです」。そこで、フロントの体積は大きくしようとした。そのために「しっかりとフードの上面に厚みや量感を持たせました。側面から見ても厚みを感じると思います」。さらに、「ボンネット周りの面に表情を持たせることにより、リズム感を持たせ、また、魅力も感じられるようにしました。これで車格感を維持しています」。
次にAピラーを後退させた。「ややもすると、昔のクルマと同じように見えてしまいますので、フロントシールドの丸みを豊かにとりました」。高澤さんは笑いながら、「ランチア『ストラトス』まではいきませんが、限界まで丸みをつけています」と話す。
そして、「その丸みが、ルーフに繋がるようなリズムを持たせています。さらに、クオーターピラーで、ボリューム感のあるリズムにバトンタッチすることで、キャビン全体が流れ(動き)を持っているように見せています」。このような工夫で、Aピラーが後退したことによる、古さなどが見えないようにしているのだ。