「調整しなければならないことだらけ」...ナンバープレート改革

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ナンバープレート改革案の例
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国土交通省が立ち上げた「ナンバープレートのあり方に関する懇談会」(座長=杉山武彦運輸政策研究所所長)が26日、中間とりまとめを公表した。

同省は中間とりまとめを受け、ナンバープレートの形や表示方法の変更について国民からパブリックコメントを募集、4月24日まで意見を受け付け、今年の夏を目途に最終的な結論を出すとしている。

今回示されたナンバープレートのイメージは2つあり、どちらも今までの登録番号のほかに、陸運局をアルファベットで示す新しい要素を取り入れているが、目を引くのはその形だ。

1つは、地域などを示す分類番号と登録番号を2段に表示した従来型。もう1つは、欧州のナンバープレートを想起させる横長型で、分類番号と登録番号の表示は1列になっている。報道各社が横1列のナンバープレートを取り上げたように、注目を集めたのは後者だった。

しかし、今回のナンバープレート改革について、同省自動車局自動車情報課の担当者は「すぐに変わるように思われると申し訳ない」と語る。新しくナンバープレートの形状を変更することは容易なことではなく、「調整しなければならないことだらけ」であるという。

「表示や形式が固まった後には、まず各運輸局が所管するデータベースを改修できるのかという課題がある。そのための予算を取り付けたとしても、その次に待っているのは、ナンバープレートの取り付けをどうするかという課題が待っている。新規登録車両には、新形状のプレートで対応していただくとしても、中古車に新しいナンバーを取り付ける場合に、それが可能かということを車両メーカーや様々な関係者と検討しなければならない」

二輪車や四輪軽自動車が除かれるため、今回対象とされる登録車両は、乗用車を中心とした約4800万台。新規登録に加えて、その車両が売買などでナンバーを取り替えていくため、従来型のナンバープレートから脱却するのは簡単なことではない。

さらに、自動車保険を取り扱う保険会社や共済、意外なところでは、駐車場関係者にも影響は広がる。前出の担当者は、「自動車保険やレンタカーの契約では、契約者本人の名前に加え、車両番号などで管理をしている。データベースに新たな要素が加わった数字やアルファベットを入力させるためには、大幅なシステム改修が必要」と話す。

駐車場関係者などが気にするのは、ナンバープレート情報の読み込みだ。有料道路の料金所レーンや一部の駐車場の出入口では、ナンバープレート情報を自動的に読み込み、料金請求などに役立てている。

ところが、実際に読み取っているのは数字や文字の意味ではなく、あらかじめコンピュータに記憶させた文字の形とナンバープレートの描かれた文字のイメージとの照合によって判定している。想定される文字が決まっている従来型のナンバーであれば、変化に追随することもできるが、記憶させなければならない文字が増えすぎると、システムが対応できなくなる可能性がある。

新たなナンバープレートが世に出るためには、それらの課題をすべてクリアしなければならない。では、新たなナンバープレートは、いつ世の中に出てくるのか。関係者の間では、そもそも世の中に登場できるかという悲観する声もあるという。

《中島みなみ》

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