日立、ガソリンエンジンのすす生成過程をシミュレーション

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シミュレーションイメージ図
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日立製作所は、ガソリンエンジンの空気吸入から、燃焼、すす(粒子状物質)の生成過程までを一貫してシミュレーションする技術を開発した。

すすの生成過程を化学反応式を用いてモデル化、詳細に解析する技術と、エンジン内の空気の流れや燃焼過程を解析する三次元流体シミュレーション技術を統合して開発した。

エンジンの燃料システムの開発で、すすの生成状況を把握するために行われている試作や実機評価をシミュレーション技術に置き換えることで、開発工数の低減が見込まれる。今後、シミュレーション技術をアルコールや天然ガスなどのガソリン以外の燃料にも適用していくとともに、すすの排出量の予測などに応用する。

北米や欧州では、2014年から自動車のエンジンから排出されるすすの排気規制の導入が検討されている。自動車用燃料は従来のガソリンや軽油に加え、アルコールや天然ガスなどの多様化が進む見通し。排気規制に対応するため、自動車エンジンの燃料システムの開発では、すすの生成状況を様々な種類の燃料ごとに高い精度で評価することが求められている。

従来のすす生成状況のシミュレーション技術は、実験から得たデータをベースにしており、試作や実機評価を繰り返し行う必要があった。また、シミュレーションできるすすの濃度範囲や燃料の種類は、実験したものに限られることから、新たな排気規制や多様化する燃料に対応するためには、多くの実験や試作、実機評価が必要で、開発工数が増加する。

日立は、化学反応式を用いてすすの生成過程を詳細に解析する技術と、空気の流れや燃焼過程を解析する三次元流体シミュレーション技術を統合することで、エンジンの空気吸入から燃焼、すすの生成過程までを一貫してシミュレーションする技術を開発した。

すすは、燃焼過程で燃え残った炭化水素が様々な化学反応を経て固体化することで生成される。日立はミュンヘン工科大学と共同で開発した、すすの生成過程を化学反応式を用いてモデル化、詳細に解析する技術に着目した。

これまで、数千種類の化学反応の連立方程式を解く必要があり、計算負荷の制約からエンジン開発などへの適用は困難だったが、すすの生成過程を詳細に分析することで、流体の温度や圧力、燃料濃度などを用いて連立方程式を簡素化し、基本的な化学反応式に集約するモデルに改めた。これにより計算負荷を大幅に低減できることから複雑なエンジン形状のシミュレーション技術へ適用が可能となった。

シミュレーション技術により、エンジン燃料システムの開発工数の低減が見込まれるほか、燃料に合わせて化学反応式を組み替えることで、様々な燃料に対応できる。アルコールや天然ガスなど他の燃料へ適用してすすの排出量予測などに活用できるという。

技術の詳細は11月29日から12月1日まで東京工業大学で開催される「第22回内燃機関シンポジウム」で発表する予定。

《レスポンス編集部》

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