【インタビュー】サービス勝負で高級駐車場ビジネスを展開…サン・ポート 清宮正次社長

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空港周辺の駐車場事業を展開するサン・ポート。羽田空港の国際便就航に伴い、10月から新サービスの提供を開始した。駐車場価格の競争が激化するなか、高価格帯の駐車場を用意し、特定ニーズを正確に抑える。サン・ポートの清宮正次社長に経営戦略を聞いた。

---:駐車場商品のラインアップを教えてください。

清宮社長:高級駐車場のサンレッドパーキング、通常駐車場のサンパーキング、低価格駐車場のプレミアパーキングと3段階の商品を持っています。これらの運営を当社が手がけています。サンレッドパーキングとサンパーキングは自社商品、プレミアパーキングはHISさまとの提携商品で、旅行パッケージに組み込まれています。

---:通常の駐車場との価格差はどれほどなのでしょうか。

清宮社長:成田空港界隈の通常駐車場は一日あたり500円というのが相場。高級駐車場のサンレッドガレージは普通車で一日6300円です。サンパーキング成田店のベーシックプランでも一日2100円としています。この価格でご利用いただくお客様は、駐車場を価格で選んでいない。大事なのはサービスなんです。価格に見合う以上のサービスを提供しなければ、選んでもらえません。ですから企業努力を惜しまないことが大切です。商売をしている以上は研究し続け、進化が必要だということです。

---:新サービスの具体的な内容を教えてください。

清宮社長:鍵付きガレージ、羽田・成田間の車両陸送サービス、さらにEVの充電サービスを用意しました。新サービスにより、一層の利便性と安全性を追求するという狙いがあります。羽田の国際線就航に伴い、陸送サービスは絶対不可欠です。以前から、成田空港に深夜に到着するとそこから移動の足がない、という問題はありました。この問題を解消するためにJTBさまなどから依頼もありました。

---:陸送サービスに対する顧客からの反響はいかがですか。

清宮社長:お客様には評価をいただいています。陸送にウイングローダーを使用する場合は5万2500円と設定しています。使用しているウイングローダーはF1車両を運ぶ車両、作業者を用いた最高級の車両陸送サービスです。このサービスを行なうには、羽田、成田の両方に駐車場を持っていなければなりません。サービスの利用により、航空券が数万円安くなれば、お客様には納得いただけるのではないでしょうか。

---:EV充電スポットで対応している電圧は。

清宮社長:単相の200ボルトを設置しています。愛知電機さまの充電器です。この充電器は基本的に当社のお客様以外にも解放しています。EVで成田に来たときには寄ってください、ということですね。

---:新サービスの提供を開始したサンレッドガレージの経営戦略を教えてください。

清宮社長:駐車場価格の競争激化に伴い、1998年に高価格駐車場のサンレッドガレージを開始しました。低価格化の反動で顕在化した高級駐車場へのニーズを拾おうという狙いでした。サンレッドガレージをご利用いただくお客様には、“個人のガレージ”という意識で使っていただきたいですね。お客様に「ガレージを育てて下さい」という提案ができる商品構成でやっていけたらいいのではないかと考えています。サンレッドガレージを利用するお客様は大きく2種類います。まずは高級車両を所持している方。実際、入庫するクルマはベンツ、BMW、レクサスなどのハイクラスブランドが約7割を占めていますし、レクサスクラブでは、指定駐車場とさせていただいています。お客様の傾向のもう一方は、常連の方。特定の従業員の接客に価値を感じていただいています。

---:成田空港とはどういった関係にありますか。

清宮社長:当初は新東京国際空港公団(2004年に成田国際空港に継承)に対して意見するために、駐車場サービス各社で組合を作りました。最初は門前払い、といった状況でしたね。その後、企業としてサービスを磨いていくためにISO9000を取得しました。品質マネジメントを国際的に定めた規格です。基本的には製造業の規格ですので、これを我々のようなサービス業に当てはめるのが困難でした。1997〜1998年にISOを取得したことによって、駐車場サービスは旅行パッケージの一つとして市民権を得ました。この取り組みと前後して駐車場サービスを営業商品として展開し、取引関係が成立するようになりました。

---:受付店舗展開の体制を教えてください。

清宮社長:成田空港周辺には通常の車両受付を行なう「サンパーキング成田店」「サンレッドガレージ」、受け渡しサービスを行なう「アイ・エスコート」があります。羽田空港周辺には「サンパーキング羽田浮島店」を国内線用、国際線用にそれぞれ用意しています。成田地区でのサンパーキングクラスの駐車可能台数は約2000台。高価格帯のサンレッドガレージには217台まで収めることができます。羽田地区では平時の収容可能台数が約800台、繁忙期は約2000台を収められるようになります。

---:駐車場サービスは季節ごとの変化が大きいのですね。

清宮社長:例えば羽田空港周辺ですと、今夏は川崎市から2.5ヘクタールくらいの土地を借りました。1か月単位で借りる事ができます。需要の増減にあわせて土地を借り、駐車場に充てています。受付のオペレーターは通常4人体制のところ、繁忙期は6人体制になります。そうした状況でも1500台くらいはお断りすることになってしまいました。空港で駐車場がなくて困っているお客様など、急な需要にも対応する必要がありますので、常に一定の余裕をもって駐車場を運営する必要があります。「現場で困っているお客様がいたら助けろ」というのが当社の方針です。

---:相当数の個人顧客を抱えているようですが。

清宮社長:サンメンバーズカードというものを発行しており、この会員は97万人となっています。通常メンバーの他に、プレミアムメンバーも作りました。プレミアムになるためには2年間で20回以上利用、または20万円以上利用者、というハードルを設けています。プレミアムメンバーの特典は洗車50%オフ、車両陸送(ウイングローダー使用で5万2500円、積載車使用で2万6250円)を半額とするなどがあります。

---:駐車場サービスはただ土地があれば良いということではなく、ビジネスとして戦略的に展開しなければ客も理解してくれないのですね。

清宮社長:駐車場というサービスを、業種として確立したいという想いがあります。高品質のサービスを展開し、お客様に満足いただくためには、設備にも社員にも投資します。当社では、年に一度、会社負担で海外旅行に行ける制度を設けています。当社のお客様が海外に行ったときにどのような環境で、どのようなサービスを受けているのか。社員も知っておく必要がありますし、年に一度くらいは会社の金を自由に使える機会があってもいいだろうと。こうしてより良いサービスをお客様に還元していこうということです。

(インタビュアー・三浦和也、文責・土屋篤司)
《レスポンス編集部》

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